2010年12月27日月曜日

血のバレンタイン

30年前のホラー。古典的作品。当時のホラーは、ハロウィン、13日の金曜日、エイプリルフール、悪魔のサンタクロースのように、1年で特別な記念日を題材にするのに必死でこれもその一つ。凶悪な殺人マシンが凶器を持って出歩くのを自然にみせるため、鉱山=つるはしという設定にした。今観るとやっぱり古くさく、殺しのシーンも全然怖くないので、寝てしまった。プロムもそうだけどアメリカの若者がパーティパーティと躍起になっているのが理解できない。2010.12.26★1.5

2010年12月24日金曜日

ハロウィン

元祖ホラー映画のリメイク版。怖くない、ストーリーが単純、殺し方も安直。妹に固執していたことが読みきれない。刃物を落として妹に直進したのは何だったんだろう。抱きつこうとしたのか。冒頭の過去のシーンからは想像することができない。2010.12.23★1.5

2010年12月21日火曜日

サマーウォーズ

日本のアニメは本当に素晴らしいということを再認識できる映画。緻密に描き込まれたアニメーションはもちろん、ozというデジタルな世界と古き良き日本の大家族が見事に対比され、メッセージをわかりやすく伝えている。人口知能にのっとられるozシステムは、インターネットに頼り切った現代社会への警鐘であるが、一方でネット上のコミュニティが最終的に世界を救うというのは、この世界の可能性を示唆している。4億の人間が国も人種も越えて力をあわせるなんて、何か胸が熱くなった。ゴクウが元気玉つくるときに力をわけてもらうのよりずっとリアル。栄おばあちゃんが黒電話で方々に連絡するシーン。人のつながりが大切というメッセージ。遺書にも、遺産はないけど、周りの人がどうにかしてくれるという言葉があった。人間のつながりは何にも変えられない財産。
そんな強いメッセージを持ちながらも、美人で誰からも愛されるヒロインと頼りない主人公の恋を予感させるつくりもうまいと思った。
しかし、エンディングソングだけは全く納得できない。なんで山下達郎なんて使ったの?エンディングのさわやかな余韻が一気に引いていった。
2010.12.12★4.0-

シャネル&ストラヴィンスキー

シャネルもストラヴィンスキーも良い演技している。特にシャネル役の女優さん、「そしてデブノーの森へ」で旦那の父親との不倫を大胆に演じていた人で、必殺の表情を持っている。口を片方に少し上げ、にやっと笑うのだが、それが何とも言えないのだ。映像も美しくおしゃれ。エンディングも良かった。年老いた孤独な二人が一瞬映し出され、現実のバレエ講演のシーンに戻る。不思議な気持ちを引きずり、クレジットを眺めていると最後にまた意味深なシーン。モノクロの世界でシャネルが最愛のボーイとキスをする。シャネルは一人の人を最期まで愛し続けた。本当に愛情の深い女性だったのだろう。
2010.12.11★3.5

2010年12月15日水曜日

封印殺人映画

ホラー映画の歴史を知るにはもってこいの映画。ただし深く掘り下げている点はないので、過渡に期待しない方が良い。マイケルマイヤーズやジェイソン、フレディを生み出した本人達のインタビューと有名な殺人シーンがコラージュされて構成されている。こうやって時代をおって観てみると、昔の殺し方の方がえげつない気がする。2010.12.13★2.5

メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー

「メタル人類学」。この響きは、メタルの世界に浸かったことの有る人間にしかわからないだろう。監督は、自ら根っからのメタル人間。メタルの起源、不思議な共同体意識の背景を読み解くために、世界を旅する。エンディングはメタリカのマスターオブパペッツだったが、スラッシュメタルの系譜がもう少し軸として記録してほしかった。メガデスとかも含めて。監督は所謂様式美よりの人なんだろう。2010.12.13★3.0-

ジェラシー

1979年の映画。この精神分析医の主人公、何か髪型がそれっぽいと思っていたら、サイモン&ガーファンクルのアートガーファンクル。
自由奔放で束縛されることを嫌うヒロイン、ガーファンクル演じる精神分析医はそんな彼女を自分のものだけにしたいが当然二人の気持ちはすれ違う。ヒロインが自殺をはかり蘇生処理されるシーンから、ハーベイカイテル演じる刑事が精神分析医を尋問するかたちで物語が進む。尋問シーンと二人の関係が交互に、しかも順序を変えて時と場所をバラバラに並べて構成しており、ミステリーの色を強めていく。
ジェラシーが引き起こしたことなのか、後味は悪い。2010.12.11★3.0-

悪夢のエレベータ

どんでん返し系ミステリーとして良くできている。マンションのエレベーターの中に4人が閉じこめられる。チンピラ風、ゴスロリ、派手なおっさん、サラリーマン。密室=極限状態の中で濃いキャラクターの4人はお互い裏の貌を詮索し合う。というのはほんのさわりの部分で、サラリーマンが死んでしまうところから物語は急展開。サラリーマン以外3人は、実はグル。チンピラ風の男はしがない探偵を生業にしており、サラリーマンの妻から浮気調査を依頼されていた。他の二人はそのお手伝い。全く殺す予定ではなかったサラリーマンがちょっとした事故で(これが実は話の根幹につながっているのだが)死んでしまったので、3人はこれを自殺にみせるために屋上から突き落とすという計画に変更。この計画がまた物語を複雑にしていく。浮気相手の女性が飛び降りようとしていたり、頭のねじのゆるんだ管理人を殺してしまったり。。
オチは言われてみればそうかと思うが、初見だと必ずぞっとできます。2010.12.12★3.5-

ファム・ファタール

ブライアンデパルマ監督作品。カンヌ映画祭。パルムドールを受賞した映画監督がスーパーモデルと出席。そのモデルは1000万$の宝石を身にまとっている。その宝石を盗もうとする3人の強盗団。一人はこれまたスタイル抜群の女でメディアに変装して侵入。宝石をつけているモデルはレズビアンで、うまくトイレに誘い出し、あれこれしている最中に偽物の宝石と交換する手はず。ところが事件発生。モデルのボディーガードが異変に気づき、トイレに乱入。強盗団のリーダーが撃たれる。メディアに扮した女がそこで仲間を裏切り逃走。
時間は流れ、とある教会のシーン。裏切られた男達が女を追いつめる。女はホテルの吹き抜けから突き落とされるが、ここで謎の老夫婦が彼女を助け家にかくまう。どうやらこの老夫婦は自分の娘と人違いをしている。娘と女はうり二つの容姿。本当の娘は、旦那と娘を事故で亡くしてしまい失意の中にある。家にはアメリカ行きの航空チケットが。それをくすねる女。娘はチケットを無くしてしまったと勘違い。そして自殺。女は娘になりすましてアメリカへ逃亡。その飛行機の中金持ちの男(実は外務大臣)と仲良くなりそのまま結婚(そうしたことは物語の中ではあとで知ることになるけど)。
またまた時は流れ、バンデラス演じるパパラッチがアメリカ外務大臣の謎の妻を暴く依頼を受ける。バンデラスが撮った写真はメディアにでかでかと取りあげられ、当然強盗団の男達の目にもとまる。またまた強盗団の追跡劇がスタート。一方、バンデラスは、女の狂言によりはめられ誘拐犯に仕立て上げられてしまう。悪魔のような女は自分の旦那から身代金を取り上げ逃亡しようとする魂胆。そこに間抜けな強盗団の男もからみ、どたばた劇の果てに女は撃たれて川の中へ。。。
ここからがこの映画の見所。いっきにメタ要素が炸裂。
(超ネタバレ)
水の中に沈んでいった女。目を覚ますとそこは助けられた老夫婦の部屋のバスルーム。アメリカでの出来事は夢だった。夢オチ。夢の中で未来をみてきた。娘の自殺を防がないと自分の未来はこうなってしまう。。女は娘を助けるのだろうか。2010.11.27★3.5

2010年11月28日日曜日

そして、デブノーの森へ

匿名の中年人気作家。息子の結婚式に出るために、ある島に訪れるがその道中、船に居合わせた若い美しい女性と一夜を過ごす。翌日、若干遅刻して教会に到着。振り向いた花嫁は、少し前まで激しい情事にふけっていたその女だった。この時のばつの悪そうな表情見物です。演技上手いなぁ。どんな気持ちかわからないけど、ああこんな表情するしかないよなって思う。浮気した直後、妻の隣に座るだけでも居心地悪いのに、息子の結婚相手とやってしまったわけだから。女の方は一夜の出来事が忘れられず、隠れて男との情事を繰り返す。で話の方は、そこに中年男の隠された過去がからみあってくる。実は大ヒットした処女作が贋作だったことがわかる。その贋作の本当の著者は旧友でその友人の娘が脅迫して金をゆすってくる。終盤、不倫に終止符を打とうとするが直後に、奥さんにバレて、どろどろの展開に。しかも、女は金をゆすっている娘とグルで。おそろしい映画だけど、映像も音楽も美しく観る価値はあり。
2010.11.28★3.0+

8人の女たち

雪に閉ざされた山荘ミステリーもの。ここで主人が殺される。集まった8人の女全員が容疑者。
お互いにアリバイをさぐり合い、人間の本性をさらけ出した醜い言い争いを展開。主人の遺産を狙った女、不倫関係にある妾、養子にもらわれた娘のお腹の子は殺された主人の子だったり、まあこれでもかというくらいひどい話を暴露しあう。最終的には一番下の娘が主人に頼まれて仕組んだ狂言だった。女達の本性を聞き出すために死んだふりをしていたと。でも登場してきた主人は、あまりのつらさに自殺してしまう。
いまいち評価が低いのは、謎のミュージカル仕立てになっている部分。何かいきなり歌い出すから、没入感は全くない。
2010.11.27★2.5

2010年11月24日水曜日

ラッシュライフ

2010.11.23★2.5-

私の中のあなた

エンディングのつくりがイマイチでもったいない。でも泣ける、普通に。
3人兄妹。兄、二人の妹。真ん中の子が白血病。両親は、この白血病の子を救うため、最適なドナーをつくることを目的に3人目の子を産んだ。だから末っ子は、小さい頃から、お姉ちゃんのために自分の体をささげる運命にあった。両親、特に母親は、白血病の娘を救うことに必死で、末っ子につらい思いを強いてきた。しかし病状は悪化していく。ついに内臓を移植しなければならないという段階で、末っ子がそれを拒否する。自分のために生きたい。もう人のために自分の体を切り裂かれるのは嫌だと。それで、なけなしのお小遣いを払い弁護士を雇って母親を訴える。子どもの権利を主張して。
終盤、法廷で明かされる真実。この法廷でのお兄ちゃんの演技が一番ぐっと来る。実は訴えたのは、白血病の娘がお願いしたことだった。「自分を楽にしてほしい。もう生きながらえさせないでほしい。両親に現実をみつめてほしい。」娘はこの告白のあとに、母親に抱かれながらこの世を去っていく。自分でつくった自分の写真集を母親とみるシーン、ティッシュを用意しておかなければならない。その後、再生する家族のシーンがあってエンディングロールに進むが、個人的にはそれがベタにみえてしまった。残念。
2010.11.23★4.0-

2010年11月22日月曜日

極楽島殺人事件

海岸で釣りをしている男が、切断された人間の頭部を釣り上げる。その身元が近くの孤島の住民だということがわかり、警察が捜査のため訪れるが、そこにいるはずの十数名の住民の姿はなく島は無人と化していた。
そこで物語は1ヶ月前にさかのぼる。話は、島で発生した猟奇殺人をきっかけに、島民全員が容疑者となり犯人探しをするうちに、疑心暗鬼になり殺し合いをはじめるという内容。。。実は、その裏には主人公演じる保健所長がかんだ薬品の人体実験があって、その副作用が島民を狂気に陥らせたというオチがつく。
韓国のこの手のサスペンススリラーは傑作が多いけど、どうもこの映画はインパクトにかける。島民がコメディのりしすぎているからか、、イマイチ緊張感にかける。
2010.11.21★2.5

20世紀少年最終章

2010.11.21★2.5

戦場でワルツを

海外アニメ。戦争もの。重い。レバノン大虐殺の地にいた一人の兵士。その時の記憶がない。同じ場所にいた仲間達を訪ねて失われた記憶をたぐりよせていく。独特の光と影でつくられたシンプルなアニメーション。エンディング間際に突如実写にきりかわる。そこに映し出される大虐殺のシーン。淡泊につくられた幻想的な映像はこのギャップを強調するためのものだった。2010.11.20★2.5

4人の女

2010.11.20★2.5

2010年11月15日月曜日

ファイナル・デッド・サーキット

ファイナル・ディスティネーションの続編、第4作目。回を重ねる毎に安っぽくなっている。とりわけ主人公がみる未来の断片はチープなCG。死に方ばかり凝って、ストーリーはお粗末。運命は自分の選択で変えられるという「バタフライエフェクト」のコンセプトの真逆で、死ぬ運命は変えられないと。そのあたり、第1作では死神の存在をにおわせるようなオカルト路線のノリもあったが、今作ではまったく触れられず、深みがない。2010.11.13★2.0

REC2

スペイン映画。1のエンディングの直後から始まる正真正銘の続編。POV(主観方式)ものでは、やはり完成度は高い方。今回は悪魔の容姿がけっこうはっきり見えてしまうので、得体のしれないものに対する恐怖感は若干薄らいでしまった。それでも数カ所声をあげてびびるところはあります。2010.11.13★3.0

2010年10月7日木曜日

HEAVEN

2010.10.6★4.0

2010年10月5日火曜日

イングロリアス・バスターズ

タランティーノ作品。主演は誰なんだろう?ブラピだということらしい。ジャケットは商業的にそう演出したんだろうけど、いやいやアカデミー助演男優賞を受賞したクリストフ・ヴァルツの存在感がずば抜けている。特に冒頭のユダヤ系一家惨殺シーン、静かな狂気全開でぶるぶるきます。ブラピの演技もなかなか良いです。バーン・アフター・リーディング のバカさも突き抜けていたけど、この映画での人でなしぶりも笑える。ナチスドイツをタランティーノが描くとどうなるのか。戦争という重いテーマを軽快な音楽とユーモアで斬新なコメディに昇華している。家族を殺された若い女性の復讐劇とドイツ人を殺しまくっているユダヤ系アメリカ人集団のヒトラー暗殺、この二つの大きなストーリーが絡み合う構成。章立てで進んでいくが、なんかパルプフィクションのような小気味良さがなく2.5時間は少しだるく感じた。2010.10.3★3.5

2010年10月1日金曜日

プライド&グローリー

エドワート・ノートンが好きだから借りた。コリンファレルだけが全面に出ていたら借りない。内容はシンプル。4人の警察が捜査中に殉死→札付きの悪が指名手配→実は裏で警察が犯罪に手を貸している→事実を隠蔽するために警察が指名手配の男を殺す→その事実を暴こうとする主人公。冒頭で犯人がわかってしまうので、あとはエドワートノートンの演技を楽しむしかない。2010.9.30★3.0

2010年9月21日火曜日

2010年9月14日火曜日

2010年9月6日月曜日

ストレイトストーリー

リンチ作品は、全部観てきた、これ以外。何故かこれだけ敬遠してきた。純粋な感動ものという評価があったから。やっぱりリンチはあの唐突に小人やウサギのキャラが陰気な空間で小躍りして意味不明なことを言い出すものじゃないとダメだと思って。しかしまあ観てみると独特の映像の質はリンチだったし、最後のシーンのお兄さんの表情は良かったなぁ。あのトラクターで芝刈りがしてみたい。2010.9.4★3.0

アザーズ

観たかもなぁと思って借りたらやっぱり観ていたけど、それでも楽しめた。この手の映画でオチがわかっているのは致命的だが、映画としてよくできているし(監督はオープンユアアイズの人)、ニコールキッドマンがきれい。好きな女優じゃないけどきれい、それに神経質でヒステリックな演技もはまっている。で、ネタバレしてしまうと、主人公の母親と二人の子どもは実は死んでいる。当然後半現れる父親も戦死している。要するにシックスセンスと同じ構成。大きな洋館で暮らす3人は、目に見えない何か、所謂家に棲みついた幽霊に怯えている。実は幽霊なのは自分たちで、目に見えない何かというのが、生きた人間。2010.9.5★3.5

ミステリートレイン

古い映画。1989年の作品。監督ジム・ジャームッシュ、工藤夕貴と永瀬が出演。3本のストーリーが絡み合う構成。メンフィスのまちを歩くシーンが人間より背景となるまちを主役に撮っているようで、息づかいが感じられた。それは良いけど、全体的には単調。。。2010.9.3★2.5

2010年9月3日金曜日

バッド・エデュケーション

ホモがいっぱい出てくる映画です。ゲイである監督の自伝的作品とのこと。監督と同名の映画監督が出てきます。ストーリーは複雑でミステリー仕立てで面白い。実世界と映画の中の世界を混同するように組み立てられているので、最後まで退屈しない。2010.9.2★3.0

2010年9月1日水曜日

ランブルフィッシュ

マットデュロンは影のある役者で中学の頃から好き。アウトサイダーのマットデュロンは最高にかっこいい。先日、クラッシュを観て、円熟した演技にぐっときたので、青春映画の気分ではなかったけど勢いで借りてみた。どうやらこれはアウトサイダーの続編らしい。例によってマットデュロンは不良役。敵対グループとの喧嘩の最中、姿をくらましていた兄が帰ってくる。この兄は若かかりしミッキーローク(ねこパンチ以前)。兄は、札付きの悪だったが、行方不明の間に何があったのか、喧嘩を嫌うようになっている。白黒映像の中、ランブルフィッシュの殺し合いが美しい。終盤、マットデュロンからダイアンレインを奪う、まだふさふさのニコラスが何かむかついた(それだけ演技はうまいということだろうけど)。2010.8.18★3.5

ゴーン・ベイビー・ゴーン

ベンアフレック監督というだけで、ちょっと小馬鹿にしていたけど、なかなか面白い。まず、映像の撮り方に感心した。アメリカのスラムがリアルに映し出されている。ドラム缶でたき火しているような退廃的な雰囲気のまち、それと貧しくても活き活きしている人の表情。構成もしっかりどんでん返ししていて楽しめる。物語は小さな女の子が誘拐されるところからはじまる。まちは大騒ぎ。警察の捜査を信用できない叔父・叔母は主人公である若い探偵を雇う。この探偵、少女が誘拐されたまちの出身でアンダーグラウンドな世界でそこそこに顔がきく。チンピラ仲間から仕入れた情報で、少女の母親が誘拐当日、バーで何時間も遊んでいたことを知る。母親はメディアの前で悲劇の女を演じているが、ドラッグ漬けで、育児を放棄したひどい母親。母親を問いつめたところ、遊び友達のドラッグの運び屋が捜査線上に浮上。この男は、ドラッグを売った金をちょろまかしており、ギャングのボスがこの金を取り戻すために少女を誘拐したという推理をたてる。警察もこれに便乗して、身元引き替え作戦を結構するが失敗。少女は湖の中へ。ギャングのボスも死亡。このあたりですでにエドハリスがまさかこんなちょろい役で終わらないなと裏読みはできる。
案の定裏にからんでいたのはエドと少女の叔父。エドの失言から探偵は真実へのルートをたぐり寄せていく。叔父はダメ母親から少女を救い出したかったので狂言劇にのった。少女を死なせたことにして、愛情を注いでくれる家族にあずける。それがモーガンフリーマン。
探偵の理性はゆれる。誘拐は犯罪、少女を連れ戻すことが正義。しかし、あのダメ母親のもとに帰ることは少女にとって本当の幸せなのか。
結局、母親は変わらなかった。少女にはどんな未来が待っているのだろう。
2010.8.18★3.5

砂と霧の家

重い、エンディングも救いようがない、考えさせられる映画。夫に逃げられた精神的ショックから酒に救いを求めあげく重度のアルコール依存症を患ったジェニファーコネリー。ちゃんと働くこともせず、社会からドロップアウトした日々をおくっている。そんなもんだから、税金を滞納して、役所に家を没収されてしまう。この家はほどなく競売にかけられ、中東から亡命してきた男の手に渡る。この男は安く手に入れ、すぐに転売することだけが目的。ジェニファーは父親から受け継いだこの家を取り戻すことに執心。そこにこの物語中一番身勝手な警官が登場し、家族を捨てジェニファーの恋人に。恋人のことなら何でもとばかり、亡命男に必要以上の嫌がらせ行為で、家を取り戻すことを支援。亡命男は将軍だっただけあり全く動揺せず、計画を実行しようとする。この警察を陥れようと脅迫された事実をちくる。ここから終盤にかけて不幸の歯車がいっきにまわりだす。ベースには役所のミスがあったというのが何とも腹立たしい。
2010.8.17 ★3.0

ヘイヴン 堕ちた楽園

2010.8.29★3.0

2010年8月13日金曜日

2010年8月10日火曜日

2010年7月12日月曜日

2010年5月6日木曜日

奇術師フーディーニ

1900年代初頭に実在したハンガリー人の奇術師フーディーニを題材にした映画。彼は手足を拘束された状態で浸かった水槽から脱出するというマジックで世の中を魅了する。そんな彼が、絶頂期に科学との挑戦と銘打ち世間に一つの挑戦状をたたきつける。自分しか知らない母親の遺言を言い当てたものに1万$の賞金を出すと言う。
この挑戦に引き寄せられたのがイカサマ女霊媒師とその娘。1万$欲しさにフーディーニに近づき、何とか遺言のヒントを得ようとするが、次第に恋心を抱くようになる。フーディーニもたくましく生きる女に心惹かれ妻がいながらもその禁断の恋に落ちていく。このあたりの心の動きはあまり丁寧に描かれていないと思った。実際、フーディーニは仕事で母親の最後を看取ることができずに、罪の意識を感じていた。遺言当てのゲームも科学と霊力の対決ではなく、単純に母親とコンタクトしたいのが本音だった。母親の面影を女霊媒師に重ねていた。それが強い愛情に移り変わっていく部分には飛躍を感じざるを得ない。
終盤、暗視公開実験の中で娘が神懸りになり、母親の言葉が語られる。フーディーニはこの中にあった「赤い悪魔」によって殺されることになるが、現実でも同じように「腹部を殴られても平気という芸」の際、準備する前に殴られて急性虫垂炎で死んだらしい。(実際には赤ではなく白だったらしい)
wikiで調べてみると実際のフーディーニの写真があって、マッチョで髪がちりちり。ガイピアーズはしっかり役作りしている。キャサリンゼタジョーンズも41歳とは思えぬキュートさ。
2010.5.5★2.5

海辺の家

泣ける映画として評価の高い映画。確かに不良少年が次第に家族に心を開いていくストーリーと父親との熱いやり取り、離婚したけどやっぱりお互いを忘れられない夫婦の愛情が豊かにわかりやすく描かれている。父親が息子と妻に自分の余命を伝えるシーンは全員素晴らしい演技。それと、脇役の隣人達が良い味出している。隣に住んでいる独り身の熟女の娘の友人との情事。この物語には別に必要ないと感じたが、その罪の意識から家造りに男手を出させる部分につながる伏線なのか(多分その男達はこの熟女と関係した人たちだろう)。どちらにしてもあまり必要ない。息子も毎日隣家の娘と一緒にシャワーをあびたり、近所に少年趣味の男がいたり、何か性に対して自由すぎる人たちにあふれている。
海辺のボロ家に住む中年男。建築事務所で働く彼はCG時代に着いていこうとせず、ひたすら模型をつくることしかしないため、とうとうリストラされる。ムカツク会社の上司に解雇を宣告され、社内の模型をぼこぼこにぶち壊した直後、彼は路上に倒れ病院に運び込まれる。そして医者から余命4ヶ月を宣告される。
彼は残された時間でボロ家を建て替えることを決意し、その作業を通じて一人息子と大切な何かを共有しようとする。離婚した妻のもとにいた息子は、新しい父親とそりがあうわけがなく、ぐれにぐれ放題。シンナー、ドラッグ、売春、顎にピアス、紫の髪、大音量のメタルと手が着けられない状態だが、父親との時間により次第に自分を取り戻していく。
命の灯火が消えようとしている病床から、イルミネーションされた海辺の家を観るシーンは感動的。息子への最後の言葉は「ありがとう」とかではなく、「完成させろ。」だった。
2010.5.2★3.5

ダイアナの選択

またこのオチか。死ぬ間際にみる走馬燈の中で描いた未来の人生をあたかもその後の人生として描きミスリードしていくもの。観終わって考えてみると確かに●年後みたいな字幕はなかったなぁ。この手法、もはやどんでん返し系の常套手段でミステリサスペンス好きなら中盤でだいたい気づいてしまうだろう。自分は旦那が講演会で観た教授だとわかった時に気づいた。
何をやるのにも無気力でつき合う男もシャブ中毒といった問題児のダイアナ、毎週欠かさず教会に通い結婚するまで貞操を守る真面目なモーリーン。ある日二人の女子高生が高校のトイレでたわいもない会話をしていると、教室の方から銃声と悲鳴が聞こえてくる。そこへ次々とクラスメイトを撃ち殺した同級生(いかにもアメリカのオタク的な)が登場。男はどちらか一人を殺すと言う。ダイアナとモーリーンにどちらを殺すか選択を迫る。
ここで場面は切り替わりダイアナの大人の物語がスタートする。観ている者はあたかもダイアナがこの事件の生存者として心にトラウマを抱えてながら生きているというストーリーを疑うことなく受け入れるだろう。ダイアナとモーリーンの高校時代の思い出と現在の家族生活、そして犯人が選択を迫ったシーンが入り乱れながら謎を深めていく構成だが、先にも書いたように中盤でオチに気づく。結局何が言いたかったのか、メッセージは伝わってこないが、映画として丁寧につくってあるしプロットもしっかりしているのでつまらないことはない。
2010.5.5★2.5

グエムル漢江の怪物

韓国発モンスターパニックムービー。というのはメディアがつくりだしたプロモーションイメージで実際には家族愛と抑圧政治を風刺したシンプルなヒューマンドラマ。武装した兵士がグロい生き物と戦うただのモンスターものとは全く別物。CMのうさんくさいモンスターの造形を観て敬遠していたが殺人の追憶のポン・ジュノ監督作品だということを知り借りた。
とにかく、「チェイサー」でも思ったが韓国人の演技は熱すぎる。やりすぎ。本気なのかふざげているのかわからないところもあり、笑いをさそう。これは日本人にはない感覚だなぁ。ソンガンホは相変わらず凄い演技力でダメ親父ぶり、娘の名前を連呼しながら号泣するシーン、見所満載。
ベトナム戦争のアメリカの枯れ葉剤「エージェント・オレンジ」を風刺した「エージェント・イエロー」。この生物兵器によりグエムルは弱るが、近くにいた人間はぴんぴんしているのが腑に落ちない。
2010.5.3★2.5

レイクビューテラス

サミュエルLジャクソンが変質的な隣人を演じるいらいら系サスペンス。
若い夫婦が丘の上の閑静な住宅街に新居を購入。隣家には黒人警官と二人の娘が住んでいる。この黒人警官が次から次へと若夫婦へ嫌がらせを連発。窓を煌々と照らすセキュリティライト、はみ出した植木の伐採、タイヤ釘さし、深夜のどんちゃん騒ぎ。。。白人・黒人夫婦であることを人に関する人種差別発言。。
しまいには、町のごろつきを使って、空き巣を企てる。自分の家でパーティを企画し、そこへ夫婦を呼ぶ。その間ごろつきが好き放題家の中を荒らすという段取りだったが、予想外に妻が一人早く帰宅し、物色中のごろつきと鉢合わせ、悲鳴をあげる。黒人警官は真っ先に現場へ向かい、自分の企てを隠すためそのごろつきをその場で射殺。警官はヒーロー扱いとなるが、現場に落とされたごろつきの携帯履歴から事の真相が明らかになる。。。
黒人警官の妻は2年前に交通事故にあい、病院に運び込まれ、治療を受けることなくストレッチャーの上で死んだ。前半、この事実のみを明らかにすることで黒人差別社会を背景とした問題を示唆させるが、後半交通事故にあった妻は会社の白人男性と車に乗っていたことがわかる、不自然な時間帯に。本当の理由は、妻の浮気を許せなかったということ。。。
良作とは言えないがサミュエルLジャクソンの演技は上手く、いらいら感はかなりのもの。
2010.5.1★2.5

天使と悪魔

最近観たハリウッド系大作映画の中ではエンターテイメント性に優れている良作。殺人予告時間までのタイムリミットを設定することで臨場感を増している。
あらすじ→ローマ教皇が死去→次期教皇を選ぶ選挙(コンクラーベ)を開こうとする→教皇候補者4名が誘拐される→誘拐犯から殺害及び爆破予告が届く(この爆破予告は先にドイツの研究所で盗まれた膨大なエネルギーを持った反物質)→トムハンクス演じる宗教シンボル学者ロバート博士が事件解決のために捜査に協力することになる。
1時間おきの殺害リミットを追いかけながら犯人の示したヒントを手がかりにヴァチカン市国・ローマ市内をかけまわる。謎解きのテンポが良くぐいぐいひきこまれる。
で、事件の背後には、過去にキリスト教に迫害された秘密の科学結社・イルミナティが存在しており、歴史を引きずった宗教的策略が見え隠れして謎を深めていく。
いかにも悪そうなスイス警察の人間が殺され、市民の絶大な人気を得た教皇侍従が次期教皇に推薦される流れにほっとしたところでどんでん返し。冒頭のシーンを思い返せば当然なんだけど、ミステリーとしてパンチは十分きいている。
2010.5.1★3.5

2010年4月30日金曜日

カポーティ

この作品でフィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー主演男優賞を受賞。物語はいたって平凡だが、キモキャラを演じるホフマンは本当にすごい。
カンザスの小さな町で1家4人の惨殺事件が発生。この事件に興味を持ったカポーティは、事件を題材にした本を書くために強引に現地に赴く。程なく殺人事件の犯人として2人の男が逮捕される。冤罪なのかと思いきやしっかり殺しているので、犯人の生い立ちがどうであれ、あまり同情感はないし、カポーティとのやりとりも普通。
2010.4.24.★2.5

ハリーポッター謎のプリンス

ハリーポッターは、他のファンタジーもの、特に同時期に第一作目が出たロードオブザリングなんかよりずっと好き。それはどでかいモンスターとの戦闘だけでなく、3人の魅力的なメインキャラクターの設定によるところが大きい。本作の前半部分では、ハーマイオニーとロンの恋愛、ポッター君の片思いが中心に描かれており、ファンタジー色の強い恋愛もののようで、なかなか引き込まれた(後半はいつものようになっていくけど。。。)薄暗い路地と家々の黄色い灯り、街並みのつくりこみも豊かで、絵本の中のような世界観にわくわくした。CMで「誰かが死ぬところからクライマックスが始まる」みたいなフレーズがあったので、もしや、ロンかハーマイオニーが死ぬのではと思ったが、ダンブルドアが死んだ。専門用語が乱発され、色々なキャラクターが出てくるので、復習しないとついていけないのが残念。もう少し過去作品の内容を補足的に入れ込んでほしい。ちなみにハーマイオニーは大きくなったなぁ。身長169cmと意外にでかい。
2010.4.28★2.5


2010年4月26日月曜日

ターミネーター4

何も考えずに映画を観たいときはこの手のアクションを借りることが多いが最近気づいた。
どんなにドンパチしても、ストーリーが陳腐だと眠くなる。重たいヒューマンドラマでもキャストの演技力に迫力がありストーリー展開が面白ければ眠くならないのに。この映画も後半うとうとしました。ラジカセから突然ガンズのユークッドビーマインが流れるところはにやけました。
2010.4.25★2.5

2010年4月18日日曜日

オリバー・ツイスト

孤児院で育てられた少年オリバー。ある時施設内で喧嘩沙汰をおこし、奴隷として売られることになるがすぐさま脱走、一路ロンドンを目指す。何とかロンドンにたどり着くが空腹と疲労でダウン。路上で飢え死にしそうになっているところを、窃盗で生活をたてるジプシーの少年達に助けられる。少年達は、社会の闇に属する一人の老人のもと、身を寄せ合い生活している。すがる当てのないオリバーに選択の余地はなく、すぐさまその一員に加わることとなる。修行を終えいよいよまちで実践というところで事故が発生。不運にも警察につかまってしまう。しかし、ことの一部始終をみていた大金持ちの伯爵に助けられ身をひきとられる。窃盗団の頭の老人や他の少年達はオリバーの境遇に面白くない。自分たちの仲間に再び引き込むためオリバーを拘束。オリバーも、命を救ってくれた老人に恩を感じているので居場所を受け入れようとする。
最終的に伯爵がオリバーを救い出し、自分の家で育てることとなるが、エンディングは何か煮え切らない印象を残す。感動が薄いので深く考える気にならないです。
2010.4.18★2.5

シャッフル

タイムパラドックス系ミステリー。意外にも丁寧につくられている。サンドラブロックもスピードの時のあのバタバタした大げさな演技ではなく、深い感情を表現している。ラズベリー&アカデミー主演女優賞ダブル受賞も納得。
水曜日に旦那が死んだとの連絡。木曜日、旦那は生きている。金曜日、旦那の葬式に参列している。といった具合に一日おきにパラレルな世界がやってくる。主人公はカレンダーに事実を書き留めながら、謎の解明に奔走する。結局、事故を防げなかったという罪悪感から夫が生きているという架空の世界をつくりだしていたというオチだが、あえてそのあたりをはっきりさせずに観ているものに判断を委ねる終わり方には好感が持てる。
2010.4.18★3.0

ゆれる

これはすごい、女性監督・西川美和すごい。出演者の演技すごい。香川照之は言うまでもないが、オダギリジョーの演技もすごい。誤解していましたすみません。
性格も風貌も全く異なる兄弟。顔・スタイルともに抜群の弟は都会に出てカメラマンとして成功し華やかな世界に身をおいている。一方、兄は、うだつが上がらず田舎町の実家のガソリンスタンドを継いでいる。母の一周忌に帰った弟は、ガソリンスタンドで昔つきあっていた幼なじみに会う。そして兄が密かに彼女に思いを寄せている微妙な空気を読みとる。しかし彼女は弟のことをまだ忘れられずにいる。閉塞した町から開放してくれるのが弟だと思っている。弟はそんな気持ちを利用するかのようにいたずらに彼女を抱く。真面目にかげで支える兄といい加減な弟の対比が強調される。兄かわいそう。
翌日兄の提案で3人は昔行ったことのある渓谷へ出かける。そして事件がおこる。幼なじみが吊り橋から転落死。殺人容疑をかけられたのは兄。弟は、無罪を信じ、親戚の弁護士をやとう。ここから面会・法定・捜査証言がスリリングに展開される。吊り橋で何が起こったのか。真相をつかみきれず、二転三転するストーリーにひっぱられていく。
幼なじみは足を滑らせ転落した。兄は助けようとした。腕の傷はずり落ちていった彼女の爪の跡。兄の無罪を確信した最終法定で、弟が証言したものは、、、
弟の心理は深い。兄の存在が重かった。家の仕事を継ぎ、ぼけはじめた父親の世話をする兄、嫌なことを全て押しつけたという後ろめたさがあった。状況を変えようとしない兄に憤りもあった。解放したいという気持ちもあったかもしれない。
兄が出所する日。昔のビデオテープの中にいた少年二人の笑顔。かけがえのないものをとりもどすために刑務所へ向かう。最後の香川照之の顔はすごい。
2010.4.17★4.5

チェイサー

これぞ韓国映画、全編に渡って、画面から異常なほどのエネルギーがほとばしっている。出演者の鬼気迫る演技、唾や汗や血が飛び散ってきそうな距離感。よどんだ路地を爆走するシーンは、自分が本当に追われているかのよう。これはストーリーを楽しむのではなく、空気を肌で感じる作品。
暴力表現も突き抜けている、元刑事の完全にやりすぎな暴れっぷり、拘束した女性への拷問、これがR18指定でないのが不思議。極めつけは水槽に沈む女性の首。セブンのエンディングに匹敵するくらい後味が悪い。
2010.4.17★3.5

2010年4月12日月曜日

ザ・フォール

とにかく映像が美しい。舞台となる世界各国の世界遺産、色鮮やかな衣装とその造形美。
めいっぱい引きで切り撮った抽象画のような砂漠と空の青、インドに実在するエッシャーの絵のような階段状の井戸Chand Baori、どのシーンも意図して絵画的な構図で映像化されておりアート作品の域に達している。
タイトル「ザ・フォール」にあるように、二つの落下が青年と少女を病院で引き合わせる。
撮影中の事故で下半身不随になり、主演の色男に愛する彼女を奪われた、スタントマンの青年ロイ。そしてオレンジの樹から落下し腕を骨折した5歳の少女アレクサンドリア。
絶望の中、何とかして自殺を試みようとするロイは、空想物語でアレクサンドリアを惹きつけ、彼女に院内の薬を盗ませようとする。彼のでたらめなお伽噺に少女の無限大のイマジネーションが重ねられ美しく幻想的な世界が映し出されていく。登場人物は全て病院の中にいる大人達であり、現実と空想の配役の妙とそれらが交互に展開する複雑な物語構成がパズル的な要素ともなり最後までテンションを保ち続ける。加えて、すきっぱのぽっちゃりしたどこにでもいるような女の子が実に無邪気でかわいらしく、美しい空想世界をより強調する。
終盤、二つの「落ちる」にもう一つの「落ちる」が重ねられる。ロイはアレクサンドリアへの罪悪感と人生の虚無感から、次々と空想世界の登場人物を殺し、物語をうち消そうとする。その時少女が叫ぶのは、空想世界だけでなく現実の彼に向けられた生きる言葉。
2010.4.10★3.5

その土曜日、7時58分

コマーシャルと邦題から、謎解きミステリーという先入観を持ってしまうが、これは二人の息子と父親の愛・憎しみ・妬みをリアルに描いたヒューマンドラマとして観るべき。
離婚し娘にもルーザー呼ばわりされる借金だらけのダメな弟、企業の上役だが会社の金をちょろまかしドラッグまみれでその上夫婦の営みもろくにできない兄。そしてこの似てもにつかない二人の父親。ある事件がこの3人の登場人物の異なる視点で、「その土曜日、7時58分。」を基点として過去・未来に行き来しながら語られる。
事件4日前、兄は弟に強盗話を持ちかける。弟は娘にだけは良い格好をしたい。金のない八方塞がりの状況を打破するためにこの話にのる。ところが、兄が強盗の対象として指定した店は、自分たちの両親が経営する宝石店。両親に危害なく、店にかけられた保険があるため、みんなハッピーになるという筋書きは、一つの誤算からとんでもない方向へ。
時間軸をたくみに操作したプロット展開で最後までぐいぐい引っ張る。
フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は当然ながらすごいけど(特に終盤、父親にぶたれて車の中で号泣するシーン)、イーサンホークもいいなぁ。ガダカの美青年がこんなへたれな役もやってしまうとは。あと、優しいけどどこかもの悲しい音楽も印象的。
2010.4.11★3.0

スカイ・クロラ

森博嗣原作、アニメ界の巨匠・押井守監督が手掛けた長編アニメ。
登場人物が全て機械のように描かれているのは狙いなのか。大人にならない「キルドレ」たち。彼らはどこかに大切な心も忘れてきたかのよう。それは、森博嗣の作品にも通じるところがある。物語のパーツとして登場人物を配置している感じ。自分には、女性鬼教官の苦しみもエースパイロットの葛藤も、全然伝わってこなかった。
これは映画だけでは描ききれなかったということなのか。多分、根底には人の再生がテーマとして置かれていると思う。それを理解するには原作を読めということかな。
森博嗣といえば、「すべてがFになる」が出た頃は本当に衝撃で、犀川&萌絵シリーズにはまり、新刊出たら必ず買っていたなぁ。
2010.4.11★2.5

永遠のこどもたち

パンズ・ラビリンスのギレルモ・デル・トロ製作、ホラーファンタジー。ホラーと書いたけど、所謂ホラーではなく、ダークな雰囲気をそう表現したい。実際、何カ所か声が出るくらいびびってしまうシーンがあるし、その部分だけみるとそこらのホラーよりコワイ。でも、ベースにあるのは、親子の深い愛情物語。
何より映像がきれい。パンズ・ラビリンスが予想外に良かったのは独特の映像美によるところが大きいし、この作品もそこがまず評価されるところだろう。光と闇の独特な表現、何より素材としてスペインのまち・建物・風景そのものが美しい。
子どもの頃海辺の孤児院で育った主人公の女性は、今では使われなくなっているその建物を買い、旦那と一緒に、障がいを持つ子ども達のホームとして再生しようとしている。夫婦には、一人の息子がいる。彼は養子である。そして、生まれながらHIVウイルスを持つ悲しい運命にある。(この伏線は個人的には十分に回収できなかった)
引っ越して間もなく、息子は空想上の見えない友達と遊ぶようになる。6人の友達の存在をリアルに語り、遊びがエスカレートしていく様子に、夫婦は不安を募らせるが幼い子どもによくある遊びと解釈してやり過ごす。
ホームのオープン当日、「友達の部屋をみてほしい」という言葉を残し息子が失踪する。警察を巻き込んでの必死の捜索を行うが、手がかりがみつからないまま半年が過ぎる。その頃から、建物内で目に見えない何かの存在を感じるようになる。警察の捜査に失望した妻は、オカルトの専門家にお願いし、霊界とコンタクトをとろうとする。そして6つの白骨化した遺体を見つける。息子はどこにいるのか?ラスト、自分のとった行動が息子を暗い闇に閉じこめてしまったことを知るシーンは切ない。
エピローグのカットは完全に蛇足。あえて説明的に墓標はみせずに、そこは鑑賞者の想像力に委ねてほしかった。
2010.4.11★3.0

セル2

ひどいなぁ、これ。まず、映像の質。テレビドラマシリーズのような平べったいというかやたらと現実的な質感。映画の世界に没入することが阻止されます。それからストーリー。後半にいくにしたがってご都合主義のオンパレード。
アメリカの地方都市で若い女性をねらった連続殺人事件が発生。このシリアルキラー、女を監禁し、体力が持つ限り、殺害→蘇生→殺害を繰り返す。
主人公の女は、この殺人鬼から唯一逃れられた女。犯人に6回殺された。生死を彷徨う中で、彼女は人の遺留物から持ち主の精神世界にダイブし追体験するという特別な能力を得た。連れ去られた保安官の姪を捜すためFBIと地元警察に協力することとなる。
終盤、工場跡の犯人を追いつめる。そんなに大きなまちでもないのに、FBIがこのいかにもな施設を探し当てられないこと自体腑に落ちないがそれは百歩譲るとして、主人公が遺留物から犯人の精神にアクセスできるのに、犯人の手に直接触れてもわからないのは絶対おかしい。第一、廃工場にそいつしかいないんだから、怪しめよ。
ダイブする度に何度も登場する精神世界のCGもしょぼい。
2010.4.10★1.0

2010年4月9日金曜日

アンダーワールド ビギンズ

アンダーワールド3部作完結。
その昔、ヴァンパイアが支配する国。そこでオオカミと人間を自由に切り替えることができる絶大な力を持つ男がこの世に産み落とされた。彼はヴァンパイアに隷属され、極限まで飢えを強いられる。オオカミ男菌は噛まれることで伝染するので、そこに人間の奴隷を放り込み、人間の肉を食らわせオオカミ男軍団を創り出す。
オオカミ男軍団は、奴隷以下の扱いを受け、砦の警備やら何やらやらされるが、当然、オリジナルのオオカミ男は黙っていない。支配から逃れるために反旗を翻す。そして、もう一つ、そこにあるのはヴァンパイアとウォーウルフの禁断の愛。
3作目にしてもオオカミ男の作り込みはやはり中途半端。凄く着ぐるみっぽい。
でもそれなりに迫力を感じるのは音の効果だろう。弓矢の音はリアルにこっちに向かってくるかのよう。
この作品、前2作とヒロインが異なる。言われないと気づかないなぁ。
2010.4.4 ★2.5

変態ピエロ

すごいタイトル、ちょっと借りるのためらったよ。中身の方もタイトル通り、異様な内容。カンヌ映画祭のオープニングに上映されて、観客を沈黙の闇に突き落としたという問題作。誰からも愛されたことのない男が、憧れのミュージシャンを自宅に監禁。ガムテープでぐるぐるまきにして椅子に縛り付ける。人とのコミュニケーションが全くできないこの男、誰かに認められたいという思いが、歪み、暴走し、支配の中に自分の存在を見いだそうとする。拘束したミュージシャンに持論を展開したり、下手くそなギター&歌を披露。ミュージシャンも我慢しとけばいいのに、笑ったりするから、男は逆切れ。極度の被害妄想、自己中心的な解釈と過剰な自己愛に観るものはみんな嫌悪感をいだくことうけあい。それに、妄想の中で男は何度か死ぬが、その度にインサートされる魚が泳ぐシーンも意味不明。
どことなく分裂症気味な部分がデビット・リンチに似ていて、最後は笑えてしまった。エンディングのミュージシャンの熱唱もうける。
2010.4.4★2.5

2010年3月23日火曜日

運命じゃない人

アフタースクールの内田けんじ劇場初監督作品。カンヌ映画祭で4つの賞を受賞。
ある一晩の出来事が、5人の登場人物別々の視点で、時間を行ったり来たりしながら描かれていく。婚約者と別れたばかりの女。帰る家もなくボストンバック片手にまちをさまよう中1軒のレストランに足を踏み入れる。この偶然が5人の人間をつなぎあわせていく。女に一緒に食事しようと誘う胡散臭い男。その向かいに座っている平凡なサラリーマン。そのサラリーマンを振った結婚詐欺師の女。女が鴨にしようとしているやくざの組長。
5人の行動が複雑に絡み合いながら、物語は進行しある結末に向かっていく。ちょっとでもタイミングが違えば、別の結末があったのではないかと想像させるつくりが随所にあり、プロットの妙に感心する。伊坂幸太郎の小説にも似た軽快さがある。物語の核となる平凡なサラリーマン役が本当にどこにでもいる様な風貌で、演技も日常の延長のような素朴さがあり(特段うまくはない)、全体の空気を独特なゆるいものにしている。
★3.0

クリミナル

ちんけな詐欺師二人がひょんなことでであい、協力して偽造通貨をさばく闇取り引きで一山あてようと企む。
主犯の男は親の財産をめぐって、妹との間に訴訟問題をかかえている。で、この妹はホテルのコンシェルジュで、そのホテルが通貨引き渡しの舞台。
観ている人はこれらの要素が出来過ぎた設定であることに最後まで疑うことはないだろう。それだけ、テンポが良く、くせのある主役二人の演技にもひきこまれる。
終盤主犯の男が何も知らずに報酬の小切手を換金しようと、銀行へ。そこで、あっさりお縄ちょうだい。もう一人の犯人は、さっそうとその場から立ち去る。ここで、彼が相棒をはめたということを察するが、その後のシーンで仰天必至。監督はオーシャンズ13をつくった人で確かにあのような小気味良い雰囲気が漂っている。
2010.3.22 ★3.0

DOWN

ニューヨーク、マンハッタン。70基ものエレベーターが設置された地上100階建ての超高層ビル。
エレベーターが勝手に動き出し、死者が出るという事件が頻発する。
主人公は軍隊あがりのながされるように生きている男、消極的にエレベーターの点検を仕事にしている。そんな中当のビルオーナーから調査を依頼される。調査を進めるうちに過去におこった前任者の不審な自殺死に疑いを持つようになる。事件の裏側には過去に軍が関与していた極秘実験の闇が隠されていた。要するに人工知能のエレベーターが反乱をおこしたってやつ。主人公が過去に軍隊にいたことと秘密の実験が絡み合ってくると深みが増しただろうけど、そんな展開は全くなく、エレベーターにランチャーぶっぱなして終了。平凡。
2010.3.21  ★2.0

太陽がいっぱい

アランドロン主演の傑作ミステリー。配役マットデイモン、ジュードロウ、リプリーというタイトルでリメイクされている。
映画の基本構造はコロンボと同じで、殺しのシーンをみせておいて、追い詰められていく様を描く。と言ってもコロンボのような強烈なキャラクターのデカは登場せず、犯人の絶妙な虚偽の立ち回りに重点が置かれている。じわじわ巧みな話術と小さな物証をつなぎあわせて引き込む手法ではなく、完全犯罪の成立の様相が濃くなる最終シーンであっといわせるどんでん返し。幕引きは淡白でかっこいいし、アランドロンおしゃれ。
2010.3.21 ★3.0

コントロール

ウィレムデフォー、レイリオッタ、二大俳優共演の医療サスペンスもの。
物語はレイリオッタ演じる凶悪犯罪者が死刑執行されるシーンからはじまる。気がつくと彼は手足を拘束され、ベッドに縛り付けられている。自分は何故生きているのか。戸惑う彼に告げられるのは、選択の余地のない新薬の実験体としての道、それを断れば墓場が待つのみ。この新薬、人間に罪の意識を醸成するというもので、凶悪犯罪者である彼が被験者としてもってこいということ。
この薬は徐々に効く。世の中の全てに怒りを剥き出しにすることしかできなかった彼は、毎晩自分が殺してきた者たちの夢にうなされ、抑えきれない罪悪感に支配される。それと共に心にも平穏を持ち始める。実験チームのリーダーであるウィレムデフォーは、この薬の効用を確信し、実験の第2ステップとして監視付き、GPSタグ付きで男を施設から解放する。
男は、仕事につき、職場の女とデーとしたり、相応に社会にとけこむ。しかし、過去に障害をおわせてしまった若者に謝罪にいくあたりから物語は急変。そして「●はただの●だった」という事実。
エピローグ、新薬の開発者だった男が妻と一緒に、心に傷を持った子どもたちのための施設にいるシーンがある。薬薬で解決しようとする世の中に対するアンチテーゼ、本当に大切なのは人との触れ合い、環境からかえなくてはならないことを訴えてくる。
2010.3.16★3.0

アフタースクール

大人達の放課後。大泉洋は母校の中学校教師役。こういう役ほんとにはまるなぁ。普通に演技しているんだろうけど、何か笑えてくるのは才能だよね。
この中学校教師の古くからの友人で一流企業につとめる男。彼は会社を休み、妊娠中の妻がいるにもかかわらず白昼堂々女と密会しているところを出し抜かれる。会社のイメージダウンを恐れた経営陣は、浮気の真相を知るため、怪しい闇商売に手を染めた一人の探偵を雇う。と同時に当の浮気男は失踪してしまう。探偵は、何とか捜査の糸口をつくろうと、中学校の同級生を装って彼の母校を訪ねる。そこにいたのが大泉洋演じる教師。人の良い彼は、探偵のペースにのまれ、失踪した男探しに巻き込まれていく。
このシンプルなストーリー構成を誰も疑うことはできない。丁寧に緻密に練り上げられた会話とプロットにミスリードされる。
終盤、教師の携帯電話に残る音声と履歴がばれるあたりから物語は一転し、探偵一人を残して登場人物の裏の役割が明らかになる。浮気男と教師はグル。失踪などせず教師の部屋おり、浮気相手だと思っていた女は教師の妹でおとり捜査にあてられた婦人警官。散りばめられた伏線をだどりながら、物語の真相を理解することになるが、この設定に現実味が感じられないため、今ひとつしっくりこない。観終わった後「閉ざされた森」のオチを思い出したが、あれはある意味軍隊という特殊な環境設定がリアリティを担保していた。自然と自分の日常に重ねてしまう本作はその点から無理があるのかも。とはいってもそれなりにどんでん返しは気持ちいいし、みんな演技もいいし、主題歌は札幌が誇るロックバンド・monobright
★3.0

アナトミー

ドイツ映画。本国では絶賛され幾つかの賞もとっているらしいが、かなりマイナー。タイトルのアナトミー=解剖学の通り、病院を舞台としたメディカル系サイコホラー。
大学医学部で優秀な成績をおさめた主人公が研修医としてかよう大病院の裏には、実は人間を生きたまま解剖するいかれた秘密結社がひそんでいた。主人公は一件の不審な死をたどっていく中でこのサイコ集団の存在に気づきはじめ、殺しのターゲットとされていく。
主人公の唯一の味方として登場する男が実は研修医ではなく、秘密結社を題材に論文を書いている学生だったという設定。ちょっと無理ない?
2010.3.22 ★2.5

2010年3月10日水曜日

カタコンベ

パリの地下に実在するという広大な地下墓地カタコンベ。過去に何百万体もの死体が折り重なり、彼らは今も怨霊となり迷宮を彷徨う。こんなスリリングなシチュエーションを若者たちが黙って放っておくわけがなく、毎晩無許可のクラブ会場に。
主人公は心の病をかかえた若い女。精神療養をかねて姉のもとをたずねてアメリカからパリにやってくる。
姉はこの地下墓地クラブの常連で、妹に断りなく、パーティに連れ出す。当然、場の空気に馴染めるはずがなく、ホラー映画のお約束、暗い通路で単独行動。そして、迷う。暗闇で一人ぼっちという恐怖の舞台を整えた後は、都市伝説にある山羊のかぶり物をした得体の知れない大男を登場させる。散々追いかけまわされ、終盤、主人公もつるはしで反撃。そこでふと我にかえる。つるはしでぶん殴ったのは山羊男ではなく、姉の友人だった。全て姉のイタズラだったことを理解する。姉は激怒する、イタズラなのに人殺してんじゃねーよと。主人公、逆ギレ。イタズラに参加した仲間、全員滅多殺し。終了。
2010.3.10  ★2.0

2010年3月1日月曜日

レディ・イン・ザ・ウォーター

シックスセンス、ヴィレッジ、サインのM.ナイト・シャマラン監督作品。彼の最も売れなかった作品ということもうなずける内容。
シックスセンスのオチが強すぎたため、他の作品にもミステリー・どんでん返しを期待してしまい拍子抜けしてしまう。多くのレビュアーは、監督は深いテーマを持って純粋な人間ドラマを描こうとしているので先入観を持たずに作品を観るべきと主張しているが、やっぱり意味不明だったりエンターテイメント性にかけるからピンとこない。
1軒のアパートの敷地内に自らを水の精だと名乗る女・ストーリーが突如現れる。女は、ひどく衰弱しており、自分の命を救うには、おとぎ話に出てくる役割を与えられた特定の人間の力を集めなくてはならないと言う。それが、このアパート内にいると。ストーリー=物語を紡ぐには、語り部、翻訳者、そして物語を愛する人が必要なのだと。作中、頭でっかちの評論家だけが殺されてしまうのは、映画の本質を知らずに上辺だけで判断することに対する批判めいたものが含まれているのだろう。
それにしても深読みしなくてはならないわからない映画もどうかな。
2010.2.28 ★2.5


ZOO

乙一原作の短編集「ZOO」を映画化したもの。「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「ZOO」「陽だまりの詩」5作品のコンピレーション映画。
5作品の中で「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」の二つはかなり印象的。
「カザリとヨーコ」は、性格の違う一卵性の双子の話、姉のヨーコ視点で描かれる。母親は、溌剌とした妹のカザリを盲目的に可愛がる一方でヨーコに虐待を繰り返している。風呂にも入れず、ろくな飯も食わせてもらえないヨーコは、当然学校でも相手にされず、妹のサガリからも執拗ないじめにあう。それでも、心を閉ざすことなく、一生懸命生きようとする。ある時、カザリは母親の部屋からCDを無断で持ち出そうとするがその際に大事な仕事道具であるPCを壊してしまう。ヨーコは、自分がカザリのかわりに母親に謝るために一日姿格好を入れ替えることを提案する。母親に怒られることを恐れたヨーコはすんなりこの提案を受け入れる。しかし、ヨーコはここに一つしこんでおいた。PCを壊したのを自分がやったようにみせる証拠をわざと残す。
ラスト、自宅に早く帰ったヨーコ(姿の入れ替わったカザリ)がマンションの上から落ちてくる。ぐしゃ。

「SEVEN ROOMS」は、一組の姉弟が何の前触れもなく堅く冷たい部屋に閉じこめられているシーンからはじまるソリッドシチュエーションサスペンス。部屋には一本の水路があり、よく見ると壁を抜けて右から左へ流れている。姉の命令で弟はこの水路に潜り、隣の状況をみにいく。そこには同じ様な個室に捉えられた女性達がいる。自分たちの部屋も含めてその数7つ(SEVEN ROOMS)。定期的に供給される食糧と水路に流れてくる死体。次第に姉弟は殺されるために生かされていることを理解する。
姉は自分が犠牲となり、チェーンソーを振りかざす犯人を自分と同じ部屋に閉じこめる。意外にも姉弟愛にほろっとくる。天才子役須賀健太の演技力すごい。原作では、姉がチェーンソー男に腕を切られながらも勝ち誇った笑みを浮かべるくだりがあるとか。
ところで乙一は押井守の娘の旦那らしい。
2010.2.28 ★3.0

パリ空港の人々

パスポートを含む全ての所持品を盗まれた男がパリのドゴール空港で拘留され、そのまま空港内トランジットゾーンで、同様に足止めをくらった癖のある面々と共同生活をはじめる。いかにもフランス映画っぽく特段盛り上がりもなく淡々と物語は進行。奥さんが必死になって夫を探しているのに、当の夫(主役の男)は、トランジット内にいるミステリアスな女性に恋心をみせたりして非常に胡散臭い。元ネタが同じスピールバーグ監督作品の「ターミナル」の方がずっとわかりやすく「クラコージア」連発するところ笑えるし、従業員との心の触れ合いにもほろっとくる。空港出て少年と二人で歩き出すのもなんかなぁ、ぱっとしません。
2010.2.27 ★2.5

サスペリア2

1が全く理解できなかったので躊躇したけど、2の方を大変評価されている人も多いので借りてみた。サイケな色調で繰り広げられる殺しの数々、テンションがつかみきれないプログレミュージック、基本的な構成は1とかわらないが、物語がミステリー仕立てで進行されるのでそれなりに楽しめる。最後に明かされる犯人も、十分にどんでん返ししているし、おばさんの演技もかなり逝っていてコワイ。その部分は十分にホラー。
2010.2.27 ★2.5

2010年2月12日金曜日

サスペリア

ダリオ・アルジェント監督作品。イタリアオカルトホラーの傑作とされ、色んなところでレビュアーが絶賛している。う~ん、そうなの?まず全然怖くないし、みんな評価しているサイケデリックな殺しのシーンも大げさで逆に笑えてくる。美しければ美しいほど残酷にって言うけど、わかりません。それなら、ホステルとかSAWの方がよっぽど残酷だし、徹底している。加えて仰々しいプログレ音楽もシーンとミスマッチしていると思う。現代の感覚じゃないよ。何度か吹き出してしまった。自分には合いません。
主人公はアメリカからドイツのバレエスクールに勉強しにきた女。彼女の周りで謎の連続殺人や怪奇現象が多発。背景には学校に隠された悪魔崇拝。ストーリーは無茶苦茶だし、怖くもないので、ホラーではなく、一つの芸術作品として割り切って観るのが良いのかも。
2010.2.11 ★2.0

パーフェクト・ストレンジャー

ずるずると長い中盤以降だれる映画。30分は短縮できると思う。
新聞社に勤める主人公ロウィーナ(ハルベリー)の女友達が、無残な惨殺死体で発見される。彼女は、殺害される前に、主人公にインターネットのチャット上で知り合った不倫相手ADEXに一方的にふられ、腹いせで相手の妻に関係を暴露するという言葉を残していた。不倫相手はブルースウィルス演じる広告業界のカリスマ経営者。妻の目を盗んで複数の女性をはべらせている。主人公は女友達が謎の言葉と共に残したチャット記録のコピーからこの男が友人殺害の犯人であると確信する。そして契約社員を装って彼に近づき、犯行の物証を探る。同時にチャットルーム内でも別の女を演じてADEXを騙しながら不倫の事実をすっぱ抜こうとする。しかし、彼のオフィスに侵入し、パソコンにウィルスを仕込もうとしている現場を発見され、その場はうまいことを言って何とか凌ぐが、その後自分がスパイであると宣言しているようなメールを盗み見られ会社を解雇される。
彼に近づく術を無くす主人公。ここでさらに、一緒に捜査していた男友達が自分に変態的な愛情を持っている事実が発覚。チャットでも他の男を演じて主人公に近づいていた。
終盤物語が急展開する。観ている人は不思議な違和感を覚えるはず。チャットでADEXをホテルの一室に誘い出しそこに警察の手を回させる。物証がないまま、このチャットの事実だけでよく動かしたなと感じてしまう。最初からそうすれば良かったのにと。
でもこれにはやはり裏があった。今まで男に近づいていたのは、彼に殺害の濡れ衣をきせるために色々と仕込むことが目的だった。車の中に殺害された女の血液、殺害に使われた毒薬。そう、本当の犯人は主人公。所々フラッシュバックとしてカットインされていた、過去の父親との風呂場シーン、金髪の女の子がここでつながってくる。
どんでん返しにぎょっとしても良いところだけど、最初に言ったように全体的にだらだらしているので何かテンションが上がらない。
最後にことの真相を暴き脅迫する変態男友達を殺す。何か腑に落ちない。今までこれだけ長い時間をかけて過去の殺人の目撃者を殺したのに随分あっさり殺ってしまって。そしてさらにその殺しの現場をたまたま通りすがった親父に目撃され、殺しの連鎖を想像させるあたりはC級ホラーのオチと同じ。
でもブルースウィルスの演技はなかなか。ダイハード、アルマゲドンでの破天荒な親父もいいけど、こういうエロおやじ役やらせてもはまる。

★2.5 2010.2.11

2010年2月8日月曜日

松ヶ根乱射事件

ジャケットがもろファーゴだし、閉ざされた田舎町の雰囲気と静かに怖くそれでいて笑えるブラックユーモアなテイストも似ている。それと出演者の素の台詞まわしが良い空気つくっている。舞台は平凡な田舎町松ヶ根。物騒な事件など起こりえない平和なこのまちで一件のひき逃げ事故が発生。轢かれたのは、キム兄演じるちんぴらの女。この二人は過去に人を殺し大量の金塊を手に入れ松ヶ根の湖に隠し持っており、ほとぼりがさめてそれを回収にきたという設定。ひき逃げ事件の犯人はちょっと頭のいってしまった若い男で、偶然にもちんぴらに自分が犯人であることを知られてしまう。当然ちんぴらは強請る。加えて金塊回収の手伝いをさせ、しまいに家まで用意させる。ちんぴらは金塊を銀行で現金化して、しけた町とおさらばしたいと考えているが、金塊を自分の所有物だと証明するものがなく断念。あっさり断念するあたりストーリー的に破綻している気もするけど、まあそれは置いといて、二人はまちに居着くことになる。平行してまちでは中学生の売春とその少女が妊娠したという話しで持ちきりになる。誰が父親なのか。
二つの事件とキャストがからみあい壊れた日常世界は不思議な結末へと向かい、そこでようやくタイトルを理解する。冒頭、ひき逃げにあい意識を失って倒れている若い女のパンツの中を少年がいじるシーン(ジャケットのシーン)、いきなり笑える。
★3.0 2010.2.6

アンダーワールド2

1000年の時を越えて吸血鬼と狼男が因縁の対決を繰り広げるダークアクションファンタジーもの。本作は3部作の第2作目にあたるが、近くのGEOには1が1本しかなくいつも借りられているので仕方なく2から観た。ので、主人公と相棒の狼男が戦う背景が少しぼやけてしまう。復讐に燃えた何か羽の生えた悪魔のような男が執拗に主人公達を追い回す。その悪魔の弟は過去に捕られ秘密の施設に封印されたウォーウルフ(狼人間だけど人間に戻れなくなったやつ)。弟の封印を解き、吸血鬼を根絶やしにすることが目的。それなりにアクションシーンは迫力があり、5.1chサラウンド効果もばっちり。
主演のケイトベキンセール、トゥームレイダーのアンジェリーナジョリーやバイオハザードのミラジョボルビッチのように見た目に強そうで派手な印象はない。肩幅は狭いし背も低いし。でも憂いを秘めた陰のあるヒロイン像にはピッタリ。
3作目は最近流行りのビギンズもので過去の謎が解き明かされるとか。
2.5 2010.2.7

2010年2月7日日曜日

パンズ・ラビリンス

剣と魔法、羽や角のはえた巨大なモンスターが出てくる心躍る冒険ファンタジーとは別物、第二次世界大戦下、子どもの純粋な心を通して人間の醜さを浮き彫りにした大人のためのダークファンタジー。ヘルボーイの監督がつくっているのであまり期待していなかったけど、いやいやなかなかいい。戦時中という時代設定があるからだろうか、根菜に手足が生えたようなキャラやでっかいカエルが出てきてもベタな童話という印象はなく、それらの対比によってさらにこの世の汚さが強調されているよう。
主人公の少女は、遠い過去におとぎの国の約束を破り人間界に迷いこんでしまった姫。その記憶は失われただこの世の普通の暮らしに身を置いている。ある時森の中で偶然に出合った妖精に誘われるように自分の本当の存在を探し求めることになる。
エンディングは切ない。少女は独裁的な殺戮を繰り返す血も涙もない父親に殺され、この世界での生を終える。しかし、最後に流した自分の血が、彼女をもとの世界へ戻す鍵になり、長い間離ればなれであった実の両親と再会する。こんな汚い世界とおさらばできて良かったねと深読みすればこの映画はハッピーエンド。
2010.2.6 ★3.5

2010年2月1日月曜日

パラノーマル・アクティビティ

結論から言うとあんなに騒ぐ程怖くなかった。観終わった直後の率直な感想。時間が経つとまた感じ方がかわるけど、それは後で書くとして、何でこんなにヒットしているのか。これほどまでに社会現象化しているのはひとえにプロモーションが功を奏したから。「製作費130万興業収入80億」「これ以上の映画をつくることはできない」のフレーズ、TVコマーシャルの映画館の絶叫の様子、体験してみたくなる。
主人公の女は小さい頃から自分の周りで起こる怪奇現象に悩まされている。その何者かは、姿を見せず、自分に憑いてまわる。引っ越した先でも不可解な現象はおさまらない。そんな状況を解決しようと彼氏がほとんど興味本位の提案を持ちかける。夜通しカメラを回して怪奇現象の原因をさぐる。寝ている間にベッドの周りで何が起こるのか。定点カメラが映す映像を毎朝確認するかたちで物語は進んでいく。最初の晩は扉が少し揺れ動く程度だった現象は次第にエスカレート、かけているシーツがふわりと浮き、女が夢遊病のように徘徊する。ドスんドスんという音と浮かび上がる足跡。1階に消える女、絶叫、駆け付ける彼氏、そして。。。
結末はあっけない。心拍数あがらず。会場の中学生のおしゃべりに興ざめ。
同じPOVものならRECの方が数倍コワイ。
映像から強い印象は残らなかったが、事務所の暗く長い廊下を歩いている時にあのドスんという音がよぎる。化物の姿をあえて映像化せず想像力に委ねたからこそ、音の怖さが膨らんでくるのかも。
2010.1.30 ★2.0

ベンジャミン・バトン

ブラピ主演、大々的にプロモーションされた大作映画。老人として生まれ、歳をとるごとに若返るという特殊な身体を持った男の数奇な人生を描いたヒューマンストーリー。タイタニックのように、病床で最後の時を待つ老女の独白により物語が過去から現在へと流れていく。デビット・フィンチャーらしく感じたのは女が交通事故にあうシーン。ここだけやたらとスリリングで断片的な映像のコラージュと効果的なスローモーションが別物のように構成されている。後半、主人公は、身体が若返る一方、精神が老いていく。普通の家庭を持つことは許されず自ら愛する女性と子どもから離れ、世界へと旅立つ。逆転した時間の中では、誰の人生ともリンクできない、ただ孤独があるのみで、晩年少年の姿になった時には頭は痴呆を患い、周りに支える人はなく、切なさがこみあげる。それでも、散々自分のためだけに生きてきた老女が娘へ真実を伝えることで、彼の生きた証を浮かび上がらせている。「人生は素晴らしい。」誰かが語り継ぐことでしか自分の存在を残すことができない。あえて時間とともに若返る身体というSFのような設定で、テーマを強調してみせたのだと感じた。
2010.1.31 ★3.0

ユニコーン・キラー

ナオミ・ワッツ演じる美しく可憐で家族思いのヒロインが、デブで髭のヒッピーのカリスマに暴力を振るわれ仕舞いには無惨に殺され、そのデブは海外に逃亡し、捕まってもなお飄々と生きていくという救いようのない話し。ナオミ・ワッツファンならずとも終始、このヒッピーの指導者にむかつくこと間違いなし。舞台は1970年代のフィラデルフィア。前半はずっとこの教祖のような男の理不尽ないたぶりが続き、終盤に入ってようやくヒロインが殺され、ミステリーの様相を呈してくる。探偵とやる気のないデカが、犯人を追いつめようとするが、それを突き動かすのは、ヒロインの家族の執念。物語的にはあっと驚くようなポイントはないが、ナオミワッツはやっぱり美しく演技も上手いし、イライラ感はすごいので印象には残る。2010.1.30 ★3.0

2010年1月20日水曜日

ひぐらしのなく頃に

同人系サウンドノベルがもとになっているキャラ萌え猟奇殺人ミステリーもの。オタク的なにおいが強いので少し敬遠気味だったけど「正解率1%」のキャッチフレーズに惹かれてしまった。ゲームでは幾つかの視点で描かれた話が重なり合い謎を深めるような構造をとっているらしいがこの映画はシンプルな一本道。
舞台は閉鎖された山里の小さな村。そこへ東京から画家の父親を持つ一人の少年が移り住んでくる。都会では学校生活になじめなかった主人公だが、親切なクラスメイトのおかげもあって徐々にとけ込んでいく。しかし、村で起きる一件の殺人事件をきっかけに少年は村人全員が何かを隠していると疑いはじめる。その裏側にあるのは村人が奉る神様とそれにまつわる言い伝え、そして過去のダム建設に係る殺人事件。
まずこんな田舎の村の生徒がみんな垢抜けた都会的な美少女であることに違和感を覚える。そして意図的なキャスティングだろうが主人公のあまりの演技の下手さに恥ずかしくなる。
エンディングも何が何だかさっぱりわからない。正解があるのかないのかもわからない。カルとか殺人の追憶のような深さはない。


1.5 2010.1.10

題名のない子守唄

ニュー・シネマ・パラダイスのジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。これは本当に素晴らしい映画。特に切ないエンディングシーンは感動的、心にずしっとくる。主人公がみせる表情、余韻を残す潔い幕の引き方、場面、構図、完璧。予定調和かもしれないけど美しいものは美しい。
物語は、ウクライナの売春を背景にミステリアスに構成されている。冒頭、ジャケットからは想像もできないぼかし全開のショッキングなシーンに始まり、いっさい説明がないまま、主人公の女性イレーナのイタリアでのストーリーがはじまる。所々に過去の壮絶な売春時代のシーンがカットインされ謎をちりばめながらも、徐々にイレーナの行動の意味を理解することとなる。
イレーナは、売春と里子を斡旋する極悪なシステムに組み込まれた女性。強制的に産まされた子どもは自動的に子どもを欲しがる親へ引き渡され、そして次の子どもを産むためにまた売春を強要される。イレーナは目を盗んで呪縛から逃亡することに成功するがその時感じたのは強い母性。最後に産んだ子どもにどうしても会いたくなり、何とか子どもの居場所を突きとめ、一家が住むマンションの向かいに部屋を借りる。存在を確認するだけでは足らず、もっと子どもに近づくために手を尽くしその家の家政婦になる。自分が本当の親であることをひた隠し、愛情を注ぐ。生まれつき自己防衛力が弱い子どもをスパルタ的に訓練するシーン、、いじめっ子にやり返す子どもを陰から見守るシーン、イレーナの演技は素晴らしい。
後半、物語は急展開する。ウクライナで拷問とも言える売春を強要した悪魔のような男が登場。その男はイレーナが逃げ出した際に持ち出した大金を奪い返しに来た。男は猶予を与えながらも彼女の周りから全てを奪うために、里親の女性を事故に見せかけ殺す。当然イレーナに殺人の容疑がかけられる。本当の母親になりたいイレーナの心境を考えると殺しの動機は十分。そして、イレーナは、男を殺し、埋める。
全てが明るみになり、イレーナは犯罪者として警察に捕まり、愛する子どもとの別離を余儀なくされる。そして、驚愕の真相を知る。この絶望の闇があるからこそ、刑期を終えたバス停でのシーンがふるえるほどに感動的。
この映画GEOには一本しか置いていない。ウォッチメン、何十本も入れてる場合じゃねーよ。

★4.5 2010.1.10

ハイランダー

近未来の退廃しきったニューヨークを舞台に繰り広げられるバイオレンスアクション。86年に公開された「ハイランダー/悪魔の戦士」をハリウッドがアニメ化したもの。
主人公は死ぬことができない2千年の時を生きる不死族の男。彼は2千年前に極悪非道の独裁者に愛する人を殺された。その独裁者もまた、死なない男。どの時代でも世界の支配者として君臨している。そして、主人公が愛した女性は、輪廻を繰り返す。二人の男の因縁の対決と時代時代で現れる女とのからみが物語の主軸になっている。
舞台は未知の殺傷性ウィルスが蔓延し荒廃しきった近未来のマンハッタン。市民権を持つ裕福な上流層の人間だけがワクチンを打つことを許され、それ以外の一般市民はウィルスの恐怖に怯えながら地下での生活を余儀なくされている。主人公は、賞金稼ぎとして暮らしている。懸賞金をもらい受けるためにシティにアクセスする最中、地下でワクチン奪取をたくらむ女(過去に愛した女の生まれ変わり)と出合い、ここでもまた二千年来の宿敵がシティの支配者となっていることを知る。主人公と女は、復讐と人類の生き残りをかけて巨大な塔への侵入を図る。
冒頭、北斗の拳に出てきそうな悪役を殺すシーンはなかなか格好良くてテンションが上がったけど、中盤以降、何かだれた。時折出てくる過去のシーンが唐突かつ中途半端(特に戦国時代のもの)で、これは1時間半の映画ではなく連続アニメにした方が良かった気がした。
ちなみに主人好の声は小栗旬(だから?)
★2.5 2010.1.10

チェンジリング

クリントイーストウッド映画はどれも評価が高く、特にこれはアマゾンのレビューなんかでも絶賛されている。それで期待しすぎたせいもあってか個人的には少々物足りなさが残った。エンディングではやはり親子の再会を期待してしまった。泣ける映画である必要はないけど、泣く準備してたのに泣けないとやっぱりがっかりする。だってむしろ脇役の親子の再会シーンの方が泣けたよ。エピローグで、字幕が「主人公は息子を一生探し続けた」ということを伝えてくるが、そのコメントはあえていらないと思う。
色々と考えてみる。死刑執行前日に犯人が言いたかったことは何だったのか。彼女に会って本当のことを伝えたくて手紙を出した。でも神に懺悔した後ではもう嘘をつけないと言ってしゃべることを拒否した。彼女の強さ、真っ直ぐな心だけが唯一世の中で信頼できるものだったので死を前に信じているものがなくなるのが怖かったんだと思う。
それから警察は少年の死体をどうして探し出せなかったのか。犯人が口を割らないだけでなくここにも警察の怠慢さと腐りきった体質があらわれていたのかもしれない。
腑に落ちないのは、嘘つき少年を引き取った女と裏側の警察の企みがはっきり描かれていないところ。アンジェリーナジョリーの演技は確かに迫力があるが、最近のトゥームレイダーとかウォンテッドのお色気ムンムンアクションばりばりのイメージが強すぎてしっくり来ない。何かあの唇で言われても。。。
17歳のカルテははまっていたのになぁ。

3.5 2010.1.17

2010年1月19日火曜日

ヘルボーイ ゴールデンアーミー

アメコミヒーローもの第2作目。この手のものでは、ニコラスケイジのゴーストライダーの次に格好悪い(あれはニコラスケイジが不細工だからなんだけど)。ストーリーの大枠は悪の容姿と正義の心を持つ男が世界の滅亡を企む地獄の軍団と戦うというよくある平々凡々で典型的なもの。アマゾンの評価がやたらと高いのにびっくり。確かに敵キャラの造形も凝っているし映像の迫力もなかなかだけど、どうも赤鬼のような主人公に違和感があるし、深みを感じなかった。それは後半うとうとしたからかもしれない。でも何も考えずにワクワクだけを求めて観たのに眠くなるんだからやっぱりその程度のものなんだろう。
同様のアメコミものにインクレディブル・ハルクがあるが、戦争の愚かさ、人体兵器を背景に上手く恋愛要素が絡んでおり、何より主演がエドワートノートンなので盛り上がった。あれでニコラスケイジが主演だったら評価は別だろう。終始ニコラスの話になってしまったけど、
そんな彼はマネージャーの不正により自己破産寸前の状況だとか

2.0 2010.1.17

ファニーゲームU.S.A.

理不尽な暴力殺人ゲーム映画のリメイク版。とにかく終始二人の青年の変態ぶりにイライラする(特に借りた卵を何度も落とすシーン)。この手の映画、最後には犯人が殺されて「あーすっきりした」で終わるのが普通だが、全く希望を見いだせない、後味の悪いエンディングが待っている。終盤、犯人の一人がショットガンで殺される。ハッピーエンドに向かうんだろうかと思ったところで、もう一人の犯人がカメラ目線で「筋書きと違う」と言いリモコンの巻き戻しボタンを押す。場面はショットガンが撃たれる前にタイムスリップし、犯人が殺されないもう一つの世界が展開していく。これは救いようのない絶望感を演出する狙いだろうか。個人的にはこのメタ要素でいっきに没入していた感覚が吹っ飛び所詮つくられた映画だからという気分になった。
それでも、あそこまでイラつかせるのは作者の思惑だろうし、冒頭のクラシックからいきなりデスメタルに切り替わる唐突ぶり、そしてナオミワッツの身体をはった演技はすごい。

★2.5 2010.1.3

2010年1月6日水曜日

ダウト

ストシーンのメリルストリープの嗚咽まじりの号泣が怖かった。「神に仕える者なのに、人を信じることができない。」そんな自分が許せないという独白だったと思うが、突然のことで呆気にとられた。そしてこのシーンは「この映画は純然なサスペンスでない」ということを提示しており、逆に釈然としない気持ちになった。
物語は、閉鎖的な神学校を舞台に展開される。古くからの規律を重んじ支配的に学校を統率しようとする校長と生徒への思いやりを根底に社会に開かれた新たな教会像を実現しようとする革新派の牧師。この構造はキリスト教のカソリックとプロテスタントの対立を喩えているものだろうか。その間で純粋に子ども達に愛情を注ぐ女性教師。
校長はこの牧師を忌み嫌っている。あることがきっかけで牧師が子どもたちに性的関係を強要しているという疑惑を持ち始める。校長は疑惑を確証するために、さんざん嘘をつきえぐい手をつかいながら牧師を失脚させようとする。校長室での二人の激論シーンは圧倒的な迫力。



3 2010.1.5

ザ・バンク

巨大銀行の陰謀を暴く捜査官の追跡劇を描いたアクションサスペンスもの。
ストーリーはごくごく普通であまり心に残らないが、各国の街並みの美しさが印象的だった。あまり色々な国に行ったり、突然シーンが変わるので断片的に詰め込んでいる感が最後まで拭えなかった。
終盤のフランクロイドライトのグッゲンハイム美術館での銃撃戦シーンはなかなかの迫力。どうやって撮影したのか気になった。悪事を働いていた銀行の幹部が最後に殺されるが、その後、新たな幹部就任後、逆に銀行が急成長していくエピローグはむなしさだけを残す。

2.5 2009.12.30