2010年3月1日月曜日

ZOO

乙一原作の短編集「ZOO」を映画化したもの。「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「ZOO」「陽だまりの詩」5作品のコンピレーション映画。
5作品の中で「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」の二つはかなり印象的。
「カザリとヨーコ」は、性格の違う一卵性の双子の話、姉のヨーコ視点で描かれる。母親は、溌剌とした妹のカザリを盲目的に可愛がる一方でヨーコに虐待を繰り返している。風呂にも入れず、ろくな飯も食わせてもらえないヨーコは、当然学校でも相手にされず、妹のサガリからも執拗ないじめにあう。それでも、心を閉ざすことなく、一生懸命生きようとする。ある時、カザリは母親の部屋からCDを無断で持ち出そうとするがその際に大事な仕事道具であるPCを壊してしまう。ヨーコは、自分がカザリのかわりに母親に謝るために一日姿格好を入れ替えることを提案する。母親に怒られることを恐れたヨーコはすんなりこの提案を受け入れる。しかし、ヨーコはここに一つしこんでおいた。PCを壊したのを自分がやったようにみせる証拠をわざと残す。
ラスト、自宅に早く帰ったヨーコ(姿の入れ替わったカザリ)がマンションの上から落ちてくる。ぐしゃ。

「SEVEN ROOMS」は、一組の姉弟が何の前触れもなく堅く冷たい部屋に閉じこめられているシーンからはじまるソリッドシチュエーションサスペンス。部屋には一本の水路があり、よく見ると壁を抜けて右から左へ流れている。姉の命令で弟はこの水路に潜り、隣の状況をみにいく。そこには同じ様な個室に捉えられた女性達がいる。自分たちの部屋も含めてその数7つ(SEVEN ROOMS)。定期的に供給される食糧と水路に流れてくる死体。次第に姉弟は殺されるために生かされていることを理解する。
姉は自分が犠牲となり、チェーンソーを振りかざす犯人を自分と同じ部屋に閉じこめる。意外にも姉弟愛にほろっとくる。天才子役須賀健太の演技力すごい。原作では、姉がチェーンソー男に腕を切られながらも勝ち誇った笑みを浮かべるくだりがあるとか。
ところで乙一は押井守の娘の旦那らしい。
2010.2.28 ★3.0

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