2009年11月30日月曜日

ジェイコブス・ラダー

現実・非現実混同夢オチトリップもの。ベトナム戦争で死にゆく一人の兵士がみる走馬燈を、現実と非現実を行き来しながらコラージュしている。構造としては「ステイ」と一緒。
ホラーゲーム「サイレントヒル」のもとになった映画らしい。なるほど。
★2.5 2009.11.29

ビューティフル

マイナーな映画だけど、パッケージの説明にツインピークスのようなというフレーズがあったので借りてみた。スキャンダルと妄想が蔓延する閉ざされた住宅地を舞台にしている点ではそうも感じさせる部分はあるが、突然意味不明のキャラクターが小躍りするような変態リンチワールドがあるわけではなく、あっさりしたミステリー.。結局挑発的な隣家に住む年上の女の子に騙されたというオチだが、「だから何」といった感想しか浮かんでこない。

★2 2009.11.28


ウォッチメン

つまらないくせに3時間という長さ。後半苦痛でしかない。無意味なラブシーンはやたらと長いが、物語の肝心な部分の説明が足らず、その上全体の構成やテンポが悪いのでストレスがたまる。いかにもアメリカ的なブラックジョークやグロシーンも中途半端で何を描きたかったのか、何を感じて欲しいのか全くわからない。
実験に失敗して火星に瞬間移動できる体をもったいつも裸の変態スーパーヒーロー。まあその設定はゆるすとしても、火星でつくろうとしていたあれは何?いっさい説明がない。浮気っぽいヒロインが殴っただけで壊れてしまったけど、それでいいの。反乱を起こした若いヒーローの行動の背景も全然読みとれない。ホントにつまらない。恋愛、アクション、CGと割り切ったスパイダーマンの方がずっと潔く楽しめる。
★1 2009.11.28

2009年11月25日水曜日

マジェスティック

これは良い映画。街の人たちが総出で主人公を迎えるエンディングシーンではわかっていても涙がにじむ。ジムキャリーを毛嫌いしている人は思い直してこれとイエスマン、エターナルサンシャインを観るべき。
戦後のハリウッド、ジム・キャリー演じる新進脚本家は、非米活動委員会から共産主義者の疑いをかけられる。その直後、交通事故で記憶を失い、ある町へとたどりつく。そこで彼は映画館「マジェスティック」館主の息子であり、戦場で行方不明になっていた第2次世界大戦の英雄と間違えられてしまう。自分が何者か分からないまま映画館の再生に力を注ぎ街にとけこむ主人公。しかしあることがきっかけで記憶を取り戻し、さらに迫り来る警察の手から逃れることができずふたたび犯罪者として法廷に立つこととなる。検察に釈放する交換条件として仲間を売る偽証を要求されるが。。。法廷シーンからラストにかけてジムキャリーの演技は素晴らしく、ぐっと来っぱなし。
「ショーシャンクーの空に」「グリーンマイル」のフランク・ダラボン監督作品。

★4.5 2009.10


プロムクイーン

卒業式の夜に開催されるプロムナイトでプロムクィーンになることを夢見る5人の女子(どうみても20代後半としか思えない老けた高校生)を取り巻く恋・裏切り・セックスなどを描いた青春ミステリードラマ。90秒のショートストーリーが80編連続される構成はテンポが良く新鮮。前半部分ではさながらビバリーヒルズ白書のように男女がつき合うつき合わないの攻防戦を繰り広げる。登場男子にはそれぞれに謎をちりばめておき、後半少しずつと明らかになっていく。サッカー部のエースが我の強い彼女を一方的に振り、大事な試合もぶっちした裏には、家族愛があった。それはわかるけど、試合前の儀式の相手は誰だったのか。殺人事件に巻き込まれてモーテル暮らししているちょっぴりジュード・ロウ似の彼が持っていたアタッシュケースの中身は何なのか。釈然としない部分もあるが解き明かしてみたくなる気にはならない。
しかしまあどうしてアメリカの高校生はこうプロム、プロム言うのか?文化や背景がわからないのでリアルに感じることができない。

★2.5 2009.11


2009年11月24日火曜日

閉ざされた森

二転三転どんでん返しミステリ系。
鬼軍曹率いる小部隊が森林地帯での実戦訓練中に事件を起こし、軍曹含む数名が行方不明、1名が仲間に撃たれ死亡、2名が生還する。森で何があったのか。生き残った2名の尋問から事件の真相と犯人を導き出そうとする、この前半の嘘の証言を暴く頭脳戦が実に巧妙。誰と誰が手を組んでいたのか、事件の背景にある密売と裏幕、そしてさらに裏幕。ここまででも十分あっと言わせる展開だが、さらに全てをひっくり返す仰天の仕掛けが待っている。
最後のサミュエルLジャクソンとトラボルタのからみはまるでパルプフィクションを観ているかのような軽快さ。
ジャケットとタイトルでかなり損をしていると思う。絵的にはただの戦争物にみえてしまっている。内容はユージュアルサスペクツにも匹敵する良質などんでん返しもの。

★4 2009.11.23

ミッドナイトエクスプレス

重い。ジャケットもすごいなぁ。70年代ニクソン政権下のアメリカと険悪の関係にあったトルコ。そのトルコイスタンブール空港から麻薬を持ち出そうとして捕まる青年が体験する地獄のような刑務所体験。実話をもとにしたものらしいが、日本での公開時、トルコから真実を伝えていないとの抗議があり1週間でうち切られたとか。

同じ刑務所ものである「ショーシャンクの空に」のように、観終わって後晴れ晴れとした爽快感や心にじーんとくるものは全くなかった。全編にどんよりした空気が流れている。そう感じさせることはある意味作者の思惑通りなのかもしれないが、心に残るのは人間の醜さであり、人間の尊厳とは何かを強く問いかけてくる。

★3  2009.11.14




ナショナルトレジャー2

演技派、性格俳優と評されるニコラス・ケイジ。いつもそういう目でみてかっこ悪さ(ハゲ)を気にしないようにしているけど、変にヒーロー者とかトレジャーハンターとかかっこつけるから、顔が気になって、作品自体に集中できなくなる。この映画もそう。もう少しちゃんと自分の役を選んでほしい。3枚目に徹して欲しい。

何も考えずに観ようと思って借り、冒頭のリンカーン暗殺の回顧シーンにはそこそこ引き込まれたが、その後結局最後までうとうとしてしまった。

2007年度ゴールデンラズベリー賞ノミネート作品。なるほど。


1.5  2009.11.7

モーテル2

モーテル経営者が客室を盗撮してポルノビデオを売りさばくという闇の商売をしている。ある時、盗撮している部屋で女性をめった刺しにする殺人がおきる。直後に犯人を監禁するが口車に乗せられて共同して殺人フィルムをつくることなる。そして何の罪のない3人組が餌食になる。

それだけ。深みのない映画。

1.5 2009.11.23 


13日の金曜日

30年前の映画のリメイク版。小学生の頃、エルム街の悪夢と一緒に大流行した映画。本作でもいちゃつくカップルは速攻死ぬ。

「何でそこにいるの?」「何で死なないの?」「そもそも何で殺すの?」「何で単独行動するの?」「何で2階に逃げるの?」疑問しか残さない映画。この手の映画、必ず生き残るのは女性。

観終わった後、別のDVDの冒頭にあった予告編で13人殺されていることがわかった。えっ、そういうことなの。

1.5 2009.11.22

 

インサイドマン

人質をとって立てこもった銀行強盗と交渉役の刑事の知能ゲームを主軸とした物語。50人の人質に犯人と同じペンキ屋の服を着せる犯人が集団に混じって脱出するという第一のトリック。全員が取り調べを受けることになるのだが、個々の取り調べシーンが断片的に前半部分にインサートされており謎を呼ぶ。さらに壁と壁の間の空間でほとぼりが冷めるまで時間を過ごすトリックにもまんまとだまされる。あの穴はトイレだったのかと。冒頭の独白シーンともうまくつながる。主役の刑事にはデンゼルワシントン。高い演技力が評価されているけどやっぱり大げさでおちゃらけているように感じてしまう。冒頭ニューヨークマンハッタンの風景とバックに流れるレゲエ調の音楽。スパイクリーの手にかかると現代アメリカはこうシンボライズされるんだろうけど、映画全体の印象を野暮ったくしていると思う。

2.5 2009.11.22

 

イーグルアイ

人口頭脳が反乱して人間に攻撃をしかけるという典型的な近未来SFアクションもの。中盤以降、物語の構造が明確になり自ずと犯人もわかってくるが、話のテンポが良くスピード感もあるのでそれなりに引き込まれる。機械に頼り切った現代のデジタル情報社会の風刺をベースにしているのだろうが心にぐっと残るものは特にない。何でこの手の映画には必ずカーチェイスが出てくるのか疑問でならない。

2.5 2009.11.21

 

マイ・ドッグ・スキップ

犬ものとしては平凡な出来。NG連発しながら無理矢理撮影したんだなぁと感じてしまうシーンがあり違和感を持った。主人公の少年と犬の心の通い合いみたいなものも描き切れておらず全体的に薄っぺらい印象。都会に旅立つ少年と犬の最後の別れがあんなに軽く描かれているのも納得がいかない。直後にベッドの上で眠るように亡くなっていく犬が明らかに元気に息をしているのも興ざめであった。ハチ公の死に様と比較にもならない。

それでも少年の両親(ケビンベーコンとダイアンレイン)の演技は地味ながらも心を打つ部分があり家族ものとして観れば十分及第点をつけることができるだろう。

★2.5 2009.11.15

デストラップ~死の罠~

まずジャケットがおしゃれ。古い作品とは思わせないポップなデザイン。

内容は全体的に実に小気味よくできている。前半は、「えっ生きていたの」「あっあんたたち仲間なんだ」という殺人トリックに心地よい衝撃を受けるが、何と言っても驚愕なのはあのキスシーン。よく考えるとあまり必然性も感じないので何か気持ち悪さだけが後を引く。そして後半ドリフっぽいバタバタもありつつ、一瞬にして現実が非現実化するメタミステリなオチがある。ここもおしゃれ。

監督シドニールメットは十二人の怒れる男を撮った人らしい。なるほど。

★3.5 2009.11.15