2010年4月30日金曜日

カポーティ

この作品でフィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー主演男優賞を受賞。物語はいたって平凡だが、キモキャラを演じるホフマンは本当にすごい。
カンザスの小さな町で1家4人の惨殺事件が発生。この事件に興味を持ったカポーティは、事件を題材にした本を書くために強引に現地に赴く。程なく殺人事件の犯人として2人の男が逮捕される。冤罪なのかと思いきやしっかり殺しているので、犯人の生い立ちがどうであれ、あまり同情感はないし、カポーティとのやりとりも普通。
2010.4.24.★2.5

ハリーポッター謎のプリンス

ハリーポッターは、他のファンタジーもの、特に同時期に第一作目が出たロードオブザリングなんかよりずっと好き。それはどでかいモンスターとの戦闘だけでなく、3人の魅力的なメインキャラクターの設定によるところが大きい。本作の前半部分では、ハーマイオニーとロンの恋愛、ポッター君の片思いが中心に描かれており、ファンタジー色の強い恋愛もののようで、なかなか引き込まれた(後半はいつものようになっていくけど。。。)薄暗い路地と家々の黄色い灯り、街並みのつくりこみも豊かで、絵本の中のような世界観にわくわくした。CMで「誰かが死ぬところからクライマックスが始まる」みたいなフレーズがあったので、もしや、ロンかハーマイオニーが死ぬのではと思ったが、ダンブルドアが死んだ。専門用語が乱発され、色々なキャラクターが出てくるので、復習しないとついていけないのが残念。もう少し過去作品の内容を補足的に入れ込んでほしい。ちなみにハーマイオニーは大きくなったなぁ。身長169cmと意外にでかい。
2010.4.28★2.5


2010年4月26日月曜日

ターミネーター4

何も考えずに映画を観たいときはこの手のアクションを借りることが多いが最近気づいた。
どんなにドンパチしても、ストーリーが陳腐だと眠くなる。重たいヒューマンドラマでもキャストの演技力に迫力がありストーリー展開が面白ければ眠くならないのに。この映画も後半うとうとしました。ラジカセから突然ガンズのユークッドビーマインが流れるところはにやけました。
2010.4.25★2.5

2010年4月18日日曜日

オリバー・ツイスト

孤児院で育てられた少年オリバー。ある時施設内で喧嘩沙汰をおこし、奴隷として売られることになるがすぐさま脱走、一路ロンドンを目指す。何とかロンドンにたどり着くが空腹と疲労でダウン。路上で飢え死にしそうになっているところを、窃盗で生活をたてるジプシーの少年達に助けられる。少年達は、社会の闇に属する一人の老人のもと、身を寄せ合い生活している。すがる当てのないオリバーに選択の余地はなく、すぐさまその一員に加わることとなる。修行を終えいよいよまちで実践というところで事故が発生。不運にも警察につかまってしまう。しかし、ことの一部始終をみていた大金持ちの伯爵に助けられ身をひきとられる。窃盗団の頭の老人や他の少年達はオリバーの境遇に面白くない。自分たちの仲間に再び引き込むためオリバーを拘束。オリバーも、命を救ってくれた老人に恩を感じているので居場所を受け入れようとする。
最終的に伯爵がオリバーを救い出し、自分の家で育てることとなるが、エンディングは何か煮え切らない印象を残す。感動が薄いので深く考える気にならないです。
2010.4.18★2.5

シャッフル

タイムパラドックス系ミステリー。意外にも丁寧につくられている。サンドラブロックもスピードの時のあのバタバタした大げさな演技ではなく、深い感情を表現している。ラズベリー&アカデミー主演女優賞ダブル受賞も納得。
水曜日に旦那が死んだとの連絡。木曜日、旦那は生きている。金曜日、旦那の葬式に参列している。といった具合に一日おきにパラレルな世界がやってくる。主人公はカレンダーに事実を書き留めながら、謎の解明に奔走する。結局、事故を防げなかったという罪悪感から夫が生きているという架空の世界をつくりだしていたというオチだが、あえてそのあたりをはっきりさせずに観ているものに判断を委ねる終わり方には好感が持てる。
2010.4.18★3.0

ゆれる

これはすごい、女性監督・西川美和すごい。出演者の演技すごい。香川照之は言うまでもないが、オダギリジョーの演技もすごい。誤解していましたすみません。
性格も風貌も全く異なる兄弟。顔・スタイルともに抜群の弟は都会に出てカメラマンとして成功し華やかな世界に身をおいている。一方、兄は、うだつが上がらず田舎町の実家のガソリンスタンドを継いでいる。母の一周忌に帰った弟は、ガソリンスタンドで昔つきあっていた幼なじみに会う。そして兄が密かに彼女に思いを寄せている微妙な空気を読みとる。しかし彼女は弟のことをまだ忘れられずにいる。閉塞した町から開放してくれるのが弟だと思っている。弟はそんな気持ちを利用するかのようにいたずらに彼女を抱く。真面目にかげで支える兄といい加減な弟の対比が強調される。兄かわいそう。
翌日兄の提案で3人は昔行ったことのある渓谷へ出かける。そして事件がおこる。幼なじみが吊り橋から転落死。殺人容疑をかけられたのは兄。弟は、無罪を信じ、親戚の弁護士をやとう。ここから面会・法定・捜査証言がスリリングに展開される。吊り橋で何が起こったのか。真相をつかみきれず、二転三転するストーリーにひっぱられていく。
幼なじみは足を滑らせ転落した。兄は助けようとした。腕の傷はずり落ちていった彼女の爪の跡。兄の無罪を確信した最終法定で、弟が証言したものは、、、
弟の心理は深い。兄の存在が重かった。家の仕事を継ぎ、ぼけはじめた父親の世話をする兄、嫌なことを全て押しつけたという後ろめたさがあった。状況を変えようとしない兄に憤りもあった。解放したいという気持ちもあったかもしれない。
兄が出所する日。昔のビデオテープの中にいた少年二人の笑顔。かけがえのないものをとりもどすために刑務所へ向かう。最後の香川照之の顔はすごい。
2010.4.17★4.5

チェイサー

これぞ韓国映画、全編に渡って、画面から異常なほどのエネルギーがほとばしっている。出演者の鬼気迫る演技、唾や汗や血が飛び散ってきそうな距離感。よどんだ路地を爆走するシーンは、自分が本当に追われているかのよう。これはストーリーを楽しむのではなく、空気を肌で感じる作品。
暴力表現も突き抜けている、元刑事の完全にやりすぎな暴れっぷり、拘束した女性への拷問、これがR18指定でないのが不思議。極めつけは水槽に沈む女性の首。セブンのエンディングに匹敵するくらい後味が悪い。
2010.4.17★3.5

2010年4月12日月曜日

ザ・フォール

とにかく映像が美しい。舞台となる世界各国の世界遺産、色鮮やかな衣装とその造形美。
めいっぱい引きで切り撮った抽象画のような砂漠と空の青、インドに実在するエッシャーの絵のような階段状の井戸Chand Baori、どのシーンも意図して絵画的な構図で映像化されておりアート作品の域に達している。
タイトル「ザ・フォール」にあるように、二つの落下が青年と少女を病院で引き合わせる。
撮影中の事故で下半身不随になり、主演の色男に愛する彼女を奪われた、スタントマンの青年ロイ。そしてオレンジの樹から落下し腕を骨折した5歳の少女アレクサンドリア。
絶望の中、何とかして自殺を試みようとするロイは、空想物語でアレクサンドリアを惹きつけ、彼女に院内の薬を盗ませようとする。彼のでたらめなお伽噺に少女の無限大のイマジネーションが重ねられ美しく幻想的な世界が映し出されていく。登場人物は全て病院の中にいる大人達であり、現実と空想の配役の妙とそれらが交互に展開する複雑な物語構成がパズル的な要素ともなり最後までテンションを保ち続ける。加えて、すきっぱのぽっちゃりしたどこにでもいるような女の子が実に無邪気でかわいらしく、美しい空想世界をより強調する。
終盤、二つの「落ちる」にもう一つの「落ちる」が重ねられる。ロイはアレクサンドリアへの罪悪感と人生の虚無感から、次々と空想世界の登場人物を殺し、物語をうち消そうとする。その時少女が叫ぶのは、空想世界だけでなく現実の彼に向けられた生きる言葉。
2010.4.10★3.5

その土曜日、7時58分

コマーシャルと邦題から、謎解きミステリーという先入観を持ってしまうが、これは二人の息子と父親の愛・憎しみ・妬みをリアルに描いたヒューマンドラマとして観るべき。
離婚し娘にもルーザー呼ばわりされる借金だらけのダメな弟、企業の上役だが会社の金をちょろまかしドラッグまみれでその上夫婦の営みもろくにできない兄。そしてこの似てもにつかない二人の父親。ある事件がこの3人の登場人物の異なる視点で、「その土曜日、7時58分。」を基点として過去・未来に行き来しながら語られる。
事件4日前、兄は弟に強盗話を持ちかける。弟は娘にだけは良い格好をしたい。金のない八方塞がりの状況を打破するためにこの話にのる。ところが、兄が強盗の対象として指定した店は、自分たちの両親が経営する宝石店。両親に危害なく、店にかけられた保険があるため、みんなハッピーになるという筋書きは、一つの誤算からとんでもない方向へ。
時間軸をたくみに操作したプロット展開で最後までぐいぐい引っ張る。
フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は当然ながらすごいけど(特に終盤、父親にぶたれて車の中で号泣するシーン)、イーサンホークもいいなぁ。ガダカの美青年がこんなへたれな役もやってしまうとは。あと、優しいけどどこかもの悲しい音楽も印象的。
2010.4.11★3.0

スカイ・クロラ

森博嗣原作、アニメ界の巨匠・押井守監督が手掛けた長編アニメ。
登場人物が全て機械のように描かれているのは狙いなのか。大人にならない「キルドレ」たち。彼らはどこかに大切な心も忘れてきたかのよう。それは、森博嗣の作品にも通じるところがある。物語のパーツとして登場人物を配置している感じ。自分には、女性鬼教官の苦しみもエースパイロットの葛藤も、全然伝わってこなかった。
これは映画だけでは描ききれなかったということなのか。多分、根底には人の再生がテーマとして置かれていると思う。それを理解するには原作を読めということかな。
森博嗣といえば、「すべてがFになる」が出た頃は本当に衝撃で、犀川&萌絵シリーズにはまり、新刊出たら必ず買っていたなぁ。
2010.4.11★2.5

永遠のこどもたち

パンズ・ラビリンスのギレルモ・デル・トロ製作、ホラーファンタジー。ホラーと書いたけど、所謂ホラーではなく、ダークな雰囲気をそう表現したい。実際、何カ所か声が出るくらいびびってしまうシーンがあるし、その部分だけみるとそこらのホラーよりコワイ。でも、ベースにあるのは、親子の深い愛情物語。
何より映像がきれい。パンズ・ラビリンスが予想外に良かったのは独特の映像美によるところが大きいし、この作品もそこがまず評価されるところだろう。光と闇の独特な表現、何より素材としてスペインのまち・建物・風景そのものが美しい。
子どもの頃海辺の孤児院で育った主人公の女性は、今では使われなくなっているその建物を買い、旦那と一緒に、障がいを持つ子ども達のホームとして再生しようとしている。夫婦には、一人の息子がいる。彼は養子である。そして、生まれながらHIVウイルスを持つ悲しい運命にある。(この伏線は個人的には十分に回収できなかった)
引っ越して間もなく、息子は空想上の見えない友達と遊ぶようになる。6人の友達の存在をリアルに語り、遊びがエスカレートしていく様子に、夫婦は不安を募らせるが幼い子どもによくある遊びと解釈してやり過ごす。
ホームのオープン当日、「友達の部屋をみてほしい」という言葉を残し息子が失踪する。警察を巻き込んでの必死の捜索を行うが、手がかりがみつからないまま半年が過ぎる。その頃から、建物内で目に見えない何かの存在を感じるようになる。警察の捜査に失望した妻は、オカルトの専門家にお願いし、霊界とコンタクトをとろうとする。そして6つの白骨化した遺体を見つける。息子はどこにいるのか?ラスト、自分のとった行動が息子を暗い闇に閉じこめてしまったことを知るシーンは切ない。
エピローグのカットは完全に蛇足。あえて説明的に墓標はみせずに、そこは鑑賞者の想像力に委ねてほしかった。
2010.4.11★3.0

セル2

ひどいなぁ、これ。まず、映像の質。テレビドラマシリーズのような平べったいというかやたらと現実的な質感。映画の世界に没入することが阻止されます。それからストーリー。後半にいくにしたがってご都合主義のオンパレード。
アメリカの地方都市で若い女性をねらった連続殺人事件が発生。このシリアルキラー、女を監禁し、体力が持つ限り、殺害→蘇生→殺害を繰り返す。
主人公の女は、この殺人鬼から唯一逃れられた女。犯人に6回殺された。生死を彷徨う中で、彼女は人の遺留物から持ち主の精神世界にダイブし追体験するという特別な能力を得た。連れ去られた保安官の姪を捜すためFBIと地元警察に協力することとなる。
終盤、工場跡の犯人を追いつめる。そんなに大きなまちでもないのに、FBIがこのいかにもな施設を探し当てられないこと自体腑に落ちないがそれは百歩譲るとして、主人公が遺留物から犯人の精神にアクセスできるのに、犯人の手に直接触れてもわからないのは絶対おかしい。第一、廃工場にそいつしかいないんだから、怪しめよ。
ダイブする度に何度も登場する精神世界のCGもしょぼい。
2010.4.10★1.0

2010年4月9日金曜日

アンダーワールド ビギンズ

アンダーワールド3部作完結。
その昔、ヴァンパイアが支配する国。そこでオオカミと人間を自由に切り替えることができる絶大な力を持つ男がこの世に産み落とされた。彼はヴァンパイアに隷属され、極限まで飢えを強いられる。オオカミ男菌は噛まれることで伝染するので、そこに人間の奴隷を放り込み、人間の肉を食らわせオオカミ男軍団を創り出す。
オオカミ男軍団は、奴隷以下の扱いを受け、砦の警備やら何やらやらされるが、当然、オリジナルのオオカミ男は黙っていない。支配から逃れるために反旗を翻す。そして、もう一つ、そこにあるのはヴァンパイアとウォーウルフの禁断の愛。
3作目にしてもオオカミ男の作り込みはやはり中途半端。凄く着ぐるみっぽい。
でもそれなりに迫力を感じるのは音の効果だろう。弓矢の音はリアルにこっちに向かってくるかのよう。
この作品、前2作とヒロインが異なる。言われないと気づかないなぁ。
2010.4.4 ★2.5

変態ピエロ

すごいタイトル、ちょっと借りるのためらったよ。中身の方もタイトル通り、異様な内容。カンヌ映画祭のオープニングに上映されて、観客を沈黙の闇に突き落としたという問題作。誰からも愛されたことのない男が、憧れのミュージシャンを自宅に監禁。ガムテープでぐるぐるまきにして椅子に縛り付ける。人とのコミュニケーションが全くできないこの男、誰かに認められたいという思いが、歪み、暴走し、支配の中に自分の存在を見いだそうとする。拘束したミュージシャンに持論を展開したり、下手くそなギター&歌を披露。ミュージシャンも我慢しとけばいいのに、笑ったりするから、男は逆切れ。極度の被害妄想、自己中心的な解釈と過剰な自己愛に観るものはみんな嫌悪感をいだくことうけあい。それに、妄想の中で男は何度か死ぬが、その度にインサートされる魚が泳ぐシーンも意味不明。
どことなく分裂症気味な部分がデビット・リンチに似ていて、最後は笑えてしまった。エンディングのミュージシャンの熱唱もうける。
2010.4.4★2.5