2010年4月18日日曜日

ゆれる

これはすごい、女性監督・西川美和すごい。出演者の演技すごい。香川照之は言うまでもないが、オダギリジョーの演技もすごい。誤解していましたすみません。
性格も風貌も全く異なる兄弟。顔・スタイルともに抜群の弟は都会に出てカメラマンとして成功し華やかな世界に身をおいている。一方、兄は、うだつが上がらず田舎町の実家のガソリンスタンドを継いでいる。母の一周忌に帰った弟は、ガソリンスタンドで昔つきあっていた幼なじみに会う。そして兄が密かに彼女に思いを寄せている微妙な空気を読みとる。しかし彼女は弟のことをまだ忘れられずにいる。閉塞した町から開放してくれるのが弟だと思っている。弟はそんな気持ちを利用するかのようにいたずらに彼女を抱く。真面目にかげで支える兄といい加減な弟の対比が強調される。兄かわいそう。
翌日兄の提案で3人は昔行ったことのある渓谷へ出かける。そして事件がおこる。幼なじみが吊り橋から転落死。殺人容疑をかけられたのは兄。弟は、無罪を信じ、親戚の弁護士をやとう。ここから面会・法定・捜査証言がスリリングに展開される。吊り橋で何が起こったのか。真相をつかみきれず、二転三転するストーリーにひっぱられていく。
幼なじみは足を滑らせ転落した。兄は助けようとした。腕の傷はずり落ちていった彼女の爪の跡。兄の無罪を確信した最終法定で、弟が証言したものは、、、
弟の心理は深い。兄の存在が重かった。家の仕事を継ぎ、ぼけはじめた父親の世話をする兄、嫌なことを全て押しつけたという後ろめたさがあった。状況を変えようとしない兄に憤りもあった。解放したいという気持ちもあったかもしれない。
兄が出所する日。昔のビデオテープの中にいた少年二人の笑顔。かけがえのないものをとりもどすために刑務所へ向かう。最後の香川照之の顔はすごい。
2010.4.17★4.5

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