2011年1月26日水曜日

500日のサマー

ボーイ・ミーツ・ガール、男なら誰もが持っているほろ苦い初恋の想い出。年月を経てもそのほろ苦さはかわらない。そんなダメ男達を救ってくれるような勇気のわく映画。映像と音楽は過剰な懐古主義に走らず現代的でセンス良い。ベルセバ、スミスが出てくるあたり、そこらへんの青春ものとは明らかに別物。カットインされるイラストもそれだけで十分にアート。特に夏(サマー)から秋(オータム)へかわるラストシーンには、感嘆の声をもらさずには居られなかった。500日間を自由にいったりきたりする構成により、二人の小粒なエピソードがテンポよく展開されていき、そこにやいきいきとした脇役達とのからみがアクセントとなって全く退屈させない。二人の主人公は当然美男美女ではあるけど、どこか親しみやすい雰囲気があり等身大で、誰もが感情移入してしまうこと請け合い。そのうえ(個人的だが)建築家を目指している主人公ときたら、やられたも当然。
グリーディング会社に務めるトム。社長秘書として入ってきたサマーに恋をする。しかし、彼女は普通の女の子とは違った感性の持ち主。「恋は面倒なもの。気楽に友達としてつき合う。」最初はトムも干渉し合わないように距離をとりながら、仲の良い友達を演じていたがが次第にサマーに全てを求めてしまう。束縛されることを嫌う彼女。いつしか二人の間の溝は深くなる。サマーは特段気にするわけでもなくさっぱりしているが、トムは極限まで落ち込む。でも彼女の前ではそんな気持ちを悟られたくないから格好つけて平気なふりをする。再会のパーティ。トムの妄想の中で抱き合っている二人と、現実の二人が並べて映し出される。トムはサマーの指にあるリングをみて自分を見失う。愛を信じることができず、ニセの言葉で塗り固められたグリーディングカード会社も退職。
終盤、トムは夢だった建築家の道に向かって動き出す。彼女を忘れるため?、いや、彼女に会うため?そして想い出のベンチで二人は再会する。男はサマーの身勝手さにいらっとするかもしれない。でもそれが青春。そしてそこでのトムのすっきりしない感が絶妙で良い。明らかにまだサマーとの恋を引きずっている感じが。
エンディング、面接会場で声をかけるトムから勇気をもらえる。

2011.1.24★4.5+

ドッグヴィル

2011.1.23★2.5

アパートメント

15年前の映画だけど古くささを感じさせない。とにかく、モニカベルッチの異常な美しさ。全てのプロポーションが完璧すぎてコワイくらい。今のように過剰な妖艶さがないところも美しさを際だてている。イタリアの宝石と言われいるのもわかる。絶世の美女とはこのこと。ロマーヌボーランジェの好演も忘れてはならない。幼い顔立ちとふくよかな体のギャップにくすぐられること間違いない。
エリート商社マンの主人公。美しい女性とも婚約し幸せ絶頂の最中、商談中のレストランで昔の恋人リザの後ろ姿をみる。彼女は電話ボックスにホテルのキーを忘れる。二度と会えないと思っていたリザを求めてホテルの部屋に侵入。しかし朝まで待てどリザは姿を現さない。灰皿にやぶり捨てられた一枚の新聞記事を手がかりにある女の葬儀の場へ。その女の旦那とリザが不倫関係にあったと推測した主人公は、男を尾行しリザのアパートをつきとめる。で、またまた、そのアパートに侵入し、リザの帰りを待つ。帰ってきたリザは、いきなり窓から飛び降りようとし、それを阻止する主人公。しかし、その女は自分の知るリザではなく、全く知らない女だった。同名の人違いであったことを知る主人公。でお互い心の隙間をうめるべく肉体関係を持つ(その日のうちに)。過去のシーンをはさみながらミステリアスに構成されており飽きさせない。そして、この女が実はリザの昔からの知人であったことが明かされ全体像を知る。女の本名はアリス。主人公を昔から愛していた。リザに彼を渡したくなかった。
主人公がアリスのピュアさに心を打たれ、去ろうとするアリスを空港まで追いかける。しかしアリスは一緒になろうとせずローマに飛び立つ。そこで婚約相手と出くわすのも出来過ぎているが何か不思議な余韻を残す。
こうも考えられないか。実は、リザの不倫相手をけしかけたのはアリスだったのではないか。リザのふりをして主人公と一緒にいるところを不倫相手に目撃させてもいる。そうすることでリザの身が危険になることを知っていて。自分の手に入らなくても、リザにはわたしたくなかったのではないか。
2011.1.23★3.5+

2011年1月19日水曜日

渇き

韓国映画。オールドボーイの監督。主演ソンガンホ。ソンガンホ演じる牧師は、世のためになろうと不治の病の人体実験のサンプルに志願。そして50人のうち一人だけ生き残る。生き残った彼は自分の体の異変に気づく。「人間の血」が欲しい。血を飲まないと病の症状が再発してしまう。そんな中、旧友の妹に恋をする。神に仕える者が、「血」と「性」を欲してしまう葛藤。後半、愛するひとに自分がバンパイアであることがばれて、女もバンパイアになってからは、とにかく殺戮、殺戮、血の海。エンディングは、きれいだった。陽の光を浴びて灰になっていく二人。女がかばんから取り出したのは、生まれてはじめて優しさを感じた「牧師の靴」だった。2011.1.18★3.0+

スリーピーフォロウ

ミステリーではないです、ダークファンタジーに近い。まだ現代的な科学捜査が確立していない時代が舞台。ジョニーデップ演じる刑事は、新しい捜査手法で難事件に挑む若手のエリート。古い体質の警察の中ではやっぱり浮いていて煙たがられている。それで、ニューヨークから離れた小さな村の連続首なし死体の事件を担当させられる。閉鎖的な村の人間はは、これを亡霊の仕業だと考えている。大量の人を殺しまわった悪魔のような戦士が夜な夜な自分の首を求めて現世に現れると。そうみせかけて、実は、伝説を利用した人間が真犯人かと思ったら、魔術を使う女が本当に戦士を呼びだしていた。首なし騎士の回想シーンに出てくる双子の少女の一人が犯人の継母、もう一人が森に住んでいる怪しい魔術師だったというストーリーには、それなりにミステリの定石的な感じを受けたが、イマイチ。クリスティーナリッチは独特の魅力があるなぁアダムスファミリーの時くらいの華奢な感じの方があうんだけど。2011.1.16★3.0-

乙女の祈り

規律の厳しい女学校に通う少女。顔もスタイルもぱっとしない。学校生活に全く馴染めず友達もいない。大好きなオペラ歌手のことだけを考えて空想世界に閉じこもっている。ある時、学校に一人の少女が転入してくる。自由奔放で頭も容姿も良い彼女。そんな彼女も別にクラスメイトと仲良くなるわけではなく、二人は急速に親密になる。最初は両親も友達関係を支えていたが、次第にレズなんではと疑う。そして二人を無理矢理離ればなれにさせようとする。ぱっとしない方の少女は、不幸の原因を全て母親に押しつけ、二人で殺す計画をたてる。そして撲殺→逮捕。終わり。本当にあった話なんだろうか。その後二人がどうしたみたいなテキストがエンディングに流れる。ケイトウィンスレットの演技はうまい。二重人格オチかと思ったけど単純だった。ミステリーなのか、ヒューマンドラマなのかはっりししない映画。2011.1.15★3.0-

ミラーズクロッシング

コーエン兄弟の作品。マフィアのボスの女と関係を持つ主人公。それがばれて、組から追い出される。金にも困り果て行く宛のない主人公は対立している組へ加入。血判状のかわりとして、ある男を殺すことを要求される。その男というのが、つき合っている女の弟。しょうもない弟だが、殺したと見せかけて逃がす。で、この狂言に気づいた同じ組のナンバー2が主人公を殺そうとする。主人公がは一見無口でできる男のようにみえるが肝心なところで失言してしまうのに苛立つ。映画のできとしては普通だと思う。2011.1.15★3.0