2011年1月11日火曜日

蛇イチゴ

やっぱ西川美和はすごい。人間の深層心理をここまで描ききれるなんて。それにDVD特典のインタビューを観ていても、ものの言い方、間、コメント、人間的魅力に惹きつけられる。そして美人。
ある日本人家庭。サラリーマンの父、母、娘、祖父の四人暮らし。どこにでもある典型的な家庭のようだが、一つ、異質な存在がある。その家族には、勘当されたダメ息子(兄)がいる。兄は、口から産まれたかのように口が達者でとにかくいい加減。他人の葬式に親近者として参加し香典泥棒を働いている。そんなことを繰り返している時に、自分の本当の祖父の葬式で家族と再会する。ここから物語はとんでもない方向へつきすすむ。出棺の場面で、父親がサラ金業者に自分が借金地獄であることを暴露される。実はとっくにリストラされているのに、会社にいくふりをして、給料として家庭に入れていた金はサラ金で借りたものだった。そこで兄は、父親に雇われた弁護士のふりをして、その場をしのぐ。そして120万をぽんと出し、サラ金業者を追い払う。一瞬、家族は兄を頼りにしようとするが、実はその金が詐欺で手に入れたものだということを知る。妹は、どこか兄を慕っているが、真面目な性格で家族を守ろうとする想いから、警察に通報。その時、もう兄の姿はない。妹がずっと兄の嘘だと思っていた蛇イチゴが本当にあったという最後のエピソード。救われるような気も一瞬するがやっぱり救いようがない話。
2011.1.8★3.5+

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