2010年2月12日金曜日

サスペリア

ダリオ・アルジェント監督作品。イタリアオカルトホラーの傑作とされ、色んなところでレビュアーが絶賛している。う~ん、そうなの?まず全然怖くないし、みんな評価しているサイケデリックな殺しのシーンも大げさで逆に笑えてくる。美しければ美しいほど残酷にって言うけど、わかりません。それなら、ホステルとかSAWの方がよっぽど残酷だし、徹底している。加えて仰々しいプログレ音楽もシーンとミスマッチしていると思う。現代の感覚じゃないよ。何度か吹き出してしまった。自分には合いません。
主人公はアメリカからドイツのバレエスクールに勉強しにきた女。彼女の周りで謎の連続殺人や怪奇現象が多発。背景には学校に隠された悪魔崇拝。ストーリーは無茶苦茶だし、怖くもないので、ホラーではなく、一つの芸術作品として割り切って観るのが良いのかも。
2010.2.11 ★2.0

パーフェクト・ストレンジャー

ずるずると長い中盤以降だれる映画。30分は短縮できると思う。
新聞社に勤める主人公ロウィーナ(ハルベリー)の女友達が、無残な惨殺死体で発見される。彼女は、殺害される前に、主人公にインターネットのチャット上で知り合った不倫相手ADEXに一方的にふられ、腹いせで相手の妻に関係を暴露するという言葉を残していた。不倫相手はブルースウィルス演じる広告業界のカリスマ経営者。妻の目を盗んで複数の女性をはべらせている。主人公は女友達が謎の言葉と共に残したチャット記録のコピーからこの男が友人殺害の犯人であると確信する。そして契約社員を装って彼に近づき、犯行の物証を探る。同時にチャットルーム内でも別の女を演じてADEXを騙しながら不倫の事実をすっぱ抜こうとする。しかし、彼のオフィスに侵入し、パソコンにウィルスを仕込もうとしている現場を発見され、その場はうまいことを言って何とか凌ぐが、その後自分がスパイであると宣言しているようなメールを盗み見られ会社を解雇される。
彼に近づく術を無くす主人公。ここでさらに、一緒に捜査していた男友達が自分に変態的な愛情を持っている事実が発覚。チャットでも他の男を演じて主人公に近づいていた。
終盤物語が急展開する。観ている人は不思議な違和感を覚えるはず。チャットでADEXをホテルの一室に誘い出しそこに警察の手を回させる。物証がないまま、このチャットの事実だけでよく動かしたなと感じてしまう。最初からそうすれば良かったのにと。
でもこれにはやはり裏があった。今まで男に近づいていたのは、彼に殺害の濡れ衣をきせるために色々と仕込むことが目的だった。車の中に殺害された女の血液、殺害に使われた毒薬。そう、本当の犯人は主人公。所々フラッシュバックとしてカットインされていた、過去の父親との風呂場シーン、金髪の女の子がここでつながってくる。
どんでん返しにぎょっとしても良いところだけど、最初に言ったように全体的にだらだらしているので何かテンションが上がらない。
最後にことの真相を暴き脅迫する変態男友達を殺す。何か腑に落ちない。今までこれだけ長い時間をかけて過去の殺人の目撃者を殺したのに随分あっさり殺ってしまって。そしてさらにその殺しの現場をたまたま通りすがった親父に目撃され、殺しの連鎖を想像させるあたりはC級ホラーのオチと同じ。
でもブルースウィルスの演技はなかなか。ダイハード、アルマゲドンでの破天荒な親父もいいけど、こういうエロおやじ役やらせてもはまる。

★2.5 2010.2.11

2010年2月8日月曜日

松ヶ根乱射事件

ジャケットがもろファーゴだし、閉ざされた田舎町の雰囲気と静かに怖くそれでいて笑えるブラックユーモアなテイストも似ている。それと出演者の素の台詞まわしが良い空気つくっている。舞台は平凡な田舎町松ヶ根。物騒な事件など起こりえない平和なこのまちで一件のひき逃げ事故が発生。轢かれたのは、キム兄演じるちんぴらの女。この二人は過去に人を殺し大量の金塊を手に入れ松ヶ根の湖に隠し持っており、ほとぼりがさめてそれを回収にきたという設定。ひき逃げ事件の犯人はちょっと頭のいってしまった若い男で、偶然にもちんぴらに自分が犯人であることを知られてしまう。当然ちんぴらは強請る。加えて金塊回収の手伝いをさせ、しまいに家まで用意させる。ちんぴらは金塊を銀行で現金化して、しけた町とおさらばしたいと考えているが、金塊を自分の所有物だと証明するものがなく断念。あっさり断念するあたりストーリー的に破綻している気もするけど、まあそれは置いといて、二人はまちに居着くことになる。平行してまちでは中学生の売春とその少女が妊娠したという話しで持ちきりになる。誰が父親なのか。
二つの事件とキャストがからみあい壊れた日常世界は不思議な結末へと向かい、そこでようやくタイトルを理解する。冒頭、ひき逃げにあい意識を失って倒れている若い女のパンツの中を少年がいじるシーン(ジャケットのシーン)、いきなり笑える。
★3.0 2010.2.6

アンダーワールド2

1000年の時を越えて吸血鬼と狼男が因縁の対決を繰り広げるダークアクションファンタジーもの。本作は3部作の第2作目にあたるが、近くのGEOには1が1本しかなくいつも借りられているので仕方なく2から観た。ので、主人公と相棒の狼男が戦う背景が少しぼやけてしまう。復讐に燃えた何か羽の生えた悪魔のような男が執拗に主人公達を追い回す。その悪魔の弟は過去に捕られ秘密の施設に封印されたウォーウルフ(狼人間だけど人間に戻れなくなったやつ)。弟の封印を解き、吸血鬼を根絶やしにすることが目的。それなりにアクションシーンは迫力があり、5.1chサラウンド効果もばっちり。
主演のケイトベキンセール、トゥームレイダーのアンジェリーナジョリーやバイオハザードのミラジョボルビッチのように見た目に強そうで派手な印象はない。肩幅は狭いし背も低いし。でも憂いを秘めた陰のあるヒロイン像にはピッタリ。
3作目は最近流行りのビギンズもので過去の謎が解き明かされるとか。
2.5 2010.2.7

2010年2月7日日曜日

パンズ・ラビリンス

剣と魔法、羽や角のはえた巨大なモンスターが出てくる心躍る冒険ファンタジーとは別物、第二次世界大戦下、子どもの純粋な心を通して人間の醜さを浮き彫りにした大人のためのダークファンタジー。ヘルボーイの監督がつくっているのであまり期待していなかったけど、いやいやなかなかいい。戦時中という時代設定があるからだろうか、根菜に手足が生えたようなキャラやでっかいカエルが出てきてもベタな童話という印象はなく、それらの対比によってさらにこの世の汚さが強調されているよう。
主人公の少女は、遠い過去におとぎの国の約束を破り人間界に迷いこんでしまった姫。その記憶は失われただこの世の普通の暮らしに身を置いている。ある時森の中で偶然に出合った妖精に誘われるように自分の本当の存在を探し求めることになる。
エンディングは切ない。少女は独裁的な殺戮を繰り返す血も涙もない父親に殺され、この世界での生を終える。しかし、最後に流した自分の血が、彼女をもとの世界へ戻す鍵になり、長い間離ればなれであった実の両親と再会する。こんな汚い世界とおさらばできて良かったねと深読みすればこの映画はハッピーエンド。
2010.2.6 ★3.5

2010年2月1日月曜日

パラノーマル・アクティビティ

結論から言うとあんなに騒ぐ程怖くなかった。観終わった直後の率直な感想。時間が経つとまた感じ方がかわるけど、それは後で書くとして、何でこんなにヒットしているのか。これほどまでに社会現象化しているのはひとえにプロモーションが功を奏したから。「製作費130万興業収入80億」「これ以上の映画をつくることはできない」のフレーズ、TVコマーシャルの映画館の絶叫の様子、体験してみたくなる。
主人公の女は小さい頃から自分の周りで起こる怪奇現象に悩まされている。その何者かは、姿を見せず、自分に憑いてまわる。引っ越した先でも不可解な現象はおさまらない。そんな状況を解決しようと彼氏がほとんど興味本位の提案を持ちかける。夜通しカメラを回して怪奇現象の原因をさぐる。寝ている間にベッドの周りで何が起こるのか。定点カメラが映す映像を毎朝確認するかたちで物語は進んでいく。最初の晩は扉が少し揺れ動く程度だった現象は次第にエスカレート、かけているシーツがふわりと浮き、女が夢遊病のように徘徊する。ドスんドスんという音と浮かび上がる足跡。1階に消える女、絶叫、駆け付ける彼氏、そして。。。
結末はあっけない。心拍数あがらず。会場の中学生のおしゃべりに興ざめ。
同じPOVものならRECの方が数倍コワイ。
映像から強い印象は残らなかったが、事務所の暗く長い廊下を歩いている時にあのドスんという音がよぎる。化物の姿をあえて映像化せず想像力に委ねたからこそ、音の怖さが膨らんでくるのかも。
2010.1.30 ★2.0

ベンジャミン・バトン

ブラピ主演、大々的にプロモーションされた大作映画。老人として生まれ、歳をとるごとに若返るという特殊な身体を持った男の数奇な人生を描いたヒューマンストーリー。タイタニックのように、病床で最後の時を待つ老女の独白により物語が過去から現在へと流れていく。デビット・フィンチャーらしく感じたのは女が交通事故にあうシーン。ここだけやたらとスリリングで断片的な映像のコラージュと効果的なスローモーションが別物のように構成されている。後半、主人公は、身体が若返る一方、精神が老いていく。普通の家庭を持つことは許されず自ら愛する女性と子どもから離れ、世界へと旅立つ。逆転した時間の中では、誰の人生ともリンクできない、ただ孤独があるのみで、晩年少年の姿になった時には頭は痴呆を患い、周りに支える人はなく、切なさがこみあげる。それでも、散々自分のためだけに生きてきた老女が娘へ真実を伝えることで、彼の生きた証を浮かび上がらせている。「人生は素晴らしい。」誰かが語り継ぐことでしか自分の存在を残すことができない。あえて時間とともに若返る身体というSFのような設定で、テーマを強調してみせたのだと感じた。
2010.1.31 ★3.0

ユニコーン・キラー

ナオミ・ワッツ演じる美しく可憐で家族思いのヒロインが、デブで髭のヒッピーのカリスマに暴力を振るわれ仕舞いには無惨に殺され、そのデブは海外に逃亡し、捕まってもなお飄々と生きていくという救いようのない話し。ナオミ・ワッツファンならずとも終始、このヒッピーの指導者にむかつくこと間違いなし。舞台は1970年代のフィラデルフィア。前半はずっとこの教祖のような男の理不尽ないたぶりが続き、終盤に入ってようやくヒロインが殺され、ミステリーの様相を呈してくる。探偵とやる気のないデカが、犯人を追いつめようとするが、それを突き動かすのは、ヒロインの家族の執念。物語的にはあっと驚くようなポイントはないが、ナオミワッツはやっぱり美しく演技も上手いし、イライラ感はすごいので印象には残る。2010.1.30 ★3.0