2010年2月1日月曜日

ベンジャミン・バトン

ブラピ主演、大々的にプロモーションされた大作映画。老人として生まれ、歳をとるごとに若返るという特殊な身体を持った男の数奇な人生を描いたヒューマンストーリー。タイタニックのように、病床で最後の時を待つ老女の独白により物語が過去から現在へと流れていく。デビット・フィンチャーらしく感じたのは女が交通事故にあうシーン。ここだけやたらとスリリングで断片的な映像のコラージュと効果的なスローモーションが別物のように構成されている。後半、主人公は、身体が若返る一方、精神が老いていく。普通の家庭を持つことは許されず自ら愛する女性と子どもから離れ、世界へと旅立つ。逆転した時間の中では、誰の人生ともリンクできない、ただ孤独があるのみで、晩年少年の姿になった時には頭は痴呆を患い、周りに支える人はなく、切なさがこみあげる。それでも、散々自分のためだけに生きてきた老女が娘へ真実を伝えることで、彼の生きた証を浮かび上がらせている。「人生は素晴らしい。」誰かが語り継ぐことでしか自分の存在を残すことができない。あえて時間とともに若返る身体というSFのような設定で、テーマを強調してみせたのだと感じた。
2010.1.31 ★3.0

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