2010年2月7日日曜日

パンズ・ラビリンス

剣と魔法、羽や角のはえた巨大なモンスターが出てくる心躍る冒険ファンタジーとは別物、第二次世界大戦下、子どもの純粋な心を通して人間の醜さを浮き彫りにした大人のためのダークファンタジー。ヘルボーイの監督がつくっているのであまり期待していなかったけど、いやいやなかなかいい。戦時中という時代設定があるからだろうか、根菜に手足が生えたようなキャラやでっかいカエルが出てきてもベタな童話という印象はなく、それらの対比によってさらにこの世の汚さが強調されているよう。
主人公の少女は、遠い過去におとぎの国の約束を破り人間界に迷いこんでしまった姫。その記憶は失われただこの世の普通の暮らしに身を置いている。ある時森の中で偶然に出合った妖精に誘われるように自分の本当の存在を探し求めることになる。
エンディングは切ない。少女は独裁的な殺戮を繰り返す血も涙もない父親に殺され、この世界での生を終える。しかし、最後に流した自分の血が、彼女をもとの世界へ戻す鍵になり、長い間離ればなれであった実の両親と再会する。こんな汚い世界とおさらばできて良かったねと深読みすればこの映画はハッピーエンド。
2010.2.6 ★3.5

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